相手のペースに合わせて、理解度を段階的に確認

上手に説明できる人は何度も少しずつ確認をする、
できない人は一度でたくさんの確認をする。

ビジネスの現場で、こんな経験はありませんか?

新入社員の教育を任されて、最後にこう尋ねてしまう。

「業務フロー、システム操作、社内規則、顧客対応マニュアルについて、すべて理解できましたか? 順番に説明してみてください。」

この質問を受けた新入社員は、きっと頭が真っ白になってしまうでしょう。これは、明らかに説明下手な人の典型的な例です。

説明下手な人は、一度にたくさんの確認をしようとします。聞くべき内容を忘れまいと、まずは質問としてあげて相手に投げかけるのです。しかし、これでは相手に過度なプレッシャーをかけてしまいます。

また、相手の理解度を正確に把握することも難しくなります。さらに、自分の理解度や記憶力を過信している可能性もあります。

一方、説明上手な人はこう尋ねます。

○「まず業務フローについて、どの部分まで理解できましたか? 不明点があれば、一緒に確認していきましょう。」

ぜひこの表現の違いはもちろん、発想の違いに意識を向けてもらいたいと思います。

説明上手な人は、ひとつずつ確認をします。

これにより、話を相手のペースに合わせられ、理解度を段階的に確認できます。必要に応じて説明を補足することも可能で、相手が質問しやすい雰囲気も作れます。

手間がかかりそうだが、実際は時間もストレスも少なく済む

たとえば、業務フローの確認が終わったら、次にこう続けます。

「システム操作について、特に難しいと感じた部分はありますか? 実際に操作しながら確認してみましょう。」

このように、一つひとつ丁寧に確認していくことで、相手の理解度を正確に把握し、必要な支援を提供することができるのです。

青色の背景にチェックマークが書かれた木のブロック
写真=iStock.com/10255185_880
※写真はイメージです

そんな手間のかかる聞き方は面倒だ、と思いますか?

しかし、実際にやってみるとわかりますが、これが結果的に、時間もストレスも少なく済むことが多くなるはずです。相手に合わせて、もっと大雑把な質問でも大丈夫な相手だとわかれば、調整していけば良いだけなのです。

まずここで大切なのは、情報を小分けにして優先順位をつけ、段階的に確認をしていくことです。また、相手の理解度や反応を見ながら進める柔軟性も重要です。状況に応じて確認の順序や内容を調整できるようにしましょう。

さらに、相手の立場に立って不安や負担を軽減する姿勢も心がけたいものです。相手が自由に答えたり、質問できる余地を作ることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

また、必要に応じて後日再確認の機会を設けることも忘れずに。