多くの人が人生の中で一度は経験したことは鉄板の共通項

一方、説明が上手な人は誰にでも体験したことがありそうなものか、イメージしやすいものを例に使います。

たとえば、先ほどの例をあげると、次のような感じです。

○「初めての面接で、自分の名前を言うときに噛んでしまいそうな緊張感ですよ……」

今までの人生の中で、面接をしてこなかったという人は、ほとんどいないのではないでしょうか?

特に初めての面接は、緊張のあまり、普段の自分を出せなかった人も多いでしょう。緊張したことがないという人でも、実際に面接の場で他の人が緊張している様子を見たことがあるかと思います。

多くの人が人生の中で一度は経験したこと、つまり「あるあるネタ」を例に使うと、鮮明に想像してくれるでしょう。好き嫌いなどの感情が入ることもまずありません。

「あるあるネタ」は漫才やコントでもよく使われる

「宇宙飛行士の野口聡一さんが地球に無事帰還した時のような安堵感だろう」というのは、相手が野口さんについての情報を詳しく知っていないと通じません。

一方で、「ゲリラ豪雨に見舞われたとき、折りたたみ傘がカバンの中に入っていたことに気づいて、ホッとする感じだよ」というのはいかがでしょう。

「あるある」「わかる!」と感じ、どのくらい安心したのかを共感してくれるでしょう。

青い傘
写真=iStock.com/victoshafoto
※写真はイメージです

「あの時は置き傘していて、助かったよな」と場合によっては、個人的なエピソードを思い出してくれるかもしれません。少なくとも状況をイメージすることができるので、聞き手にストレスを与えずに共有できるはずです。

また、この「あるあるネタ」はビジネスシーンや日常会話だけではなく、漫才やコントなどのお笑いでもよく使われています。つい日常でやりがちなものの、冷静に考えたらおかしな行動などを「あるあるネタ」にして、笑いをとっている様子をよく見ます。

「つい、そうしてしまうんだよね」「なんかそんな人、見たことがある」など、ありありとイメージができるところが面白さ、そして伝える上での便利さの秘訣でもあるのです。

説明上手になるためにも、日頃から「あるあるネタ」を収集していきましょう。

説明上手な人は、聞き手がイメージしやすい「あるある」をうまく会話に生かす。