運気上昇のループを描ける関係とは?

いい人同士の組は互いに感謝し助け合う互恵の関係なので、たとえば、一方が1のものを与えたら、相手は「ありがとう」と感謝して、その1.5倍を返そうとします。仕事の場でも足し算・掛け算のような相乗効果を生みます。そこには、よりよい人材が集まるので組織は豊かで強靱になり、上昇のループを描きます。こうして、利他性の高い人ほど社会的に豊かな人生を選べる可能性は高くなります。

一方、悪い人同士の組は、自分のことばかりを考え、互いに相手を利用しよう、騙してやろうとするので、引き算の関係となり、結局はうまくいきません。自分の利益になるかぎりは協力関係を築くものの、利益に反すると思えばあっさり裏切るからです。ビジネスの場であれプライベートであれ、継続的に協力し合って富や幸を生み出すということができません。

結局、悪い人はどこに行っても、いい人々の輪に加われないので、損の坂道を下り続けることになるのです。そのとき利己主義者は「自分はうまく立ち回っているつもりなのに、運がない。不幸だ」と感じることになるのです。

筆者と共同研究者が行った無作為抽出400人を対象とした調査でも、「利己的な傾向を持つ人々のほうが、そうでない人々よりも、主観的な幸福感が低い」というデータが得られています。

利己主義者が必ず損をする第3の原理は、(3)の集団淘汰原理です。これは、利己主義者が支配する社会は社会ごと自滅し淘汰されてしまうという話です。

アメリカの西部開拓史でも、ならず者が甘い汁を吸い続けた町は最後は吸うべき汁も底をつき、遂には町自体がゴーストタウンと化しています。利己主義者がせっかく天下を取っても、その社会自体が破滅してしまうので、結局は利益を失い、損をするのです。

企業も同じです。成果主義が効果を上げても、全社的に利己的体質が過剰になれば、やがては会社自体が崩壊に向かうでしょう。