罪を犯して刑務所に収容されている人々は、日々どんな食事をとっているのか。受刑者の更生支援を手掛ける団体「ほんにかえるプロジェクト」が、獄中の200人に行ったアンケートから浮かび上がる“塀の中”の食事事情とは――。
※本稿は汪楠、ほんにかえるプロジェクト『刑務所ごはん』(K&Bパブリッシャーズ)の一部を再編集したものです。料理の写真は、同書の調査を基に料理家が再現したものです。
刑務所での一日の食事スケジュール
たとえば、処遇指標“LB”(刑期が10年以上の、犯罪傾向が進んでいる男性)を収容する宮城刑務所での朝食であれば、午前6時50分に起床、点検ののち、7時10分に配られる。
麦飯と味噌汁に、わずかばかりの副菜が二品つく。漬物類、佃煮の缶詰、ふりかけといった既製品が中心だ。
納豆、ねり梅、ピーナッツみそ、菜物のおひたし、厚焼き玉子なども献立に見られるが、“きな粉”が副菜の一品として登場することが多いのに驚く。宮城で20年を過ごしたという元受刑者によれば「大さじ山盛りほどのきな粉に砂糖を混ぜたもの」だそうだ。これを米7:麦3で炊いた麦飯にまぶして食べる。服役したことのある者にとっては馴染み深い味だろう、と彼は言う。
彼は、と書いたが、もちろん受刑者は男性ばかりではない。ただ、男性が圧倒的多数なのは事実だ。「ほんにかえるプロジェクト」の200名ほどの会員の大半が長期受刑者だが、そのうち女性会員は現在4名しかいない。