まずは「どうすれば〜」と声をかけてみる
「学校に行きたくない」と言う子どもに、その理由はわからなくても、できる質問があります。
子どもの「気持ち」を聞き、共感できたことが大前提ですが、子どもの「できる選択肢を増やす」という聞き方です。
それは「どうすれば~」と方法や手段を聞いてあげること。最初は学校という枠にはまらなくてもいいかもしれません。
「どうすれば、しんどくなくなるかな?」
この質問に、子どもが「人と会わなければしんどくない」と答えたとします。そこで「人と会わない」という選択肢を一度採用します。
でも、そのしんどいというステージを超えると、子どもは人とつながりたいと思ってきます。孤独を感じてしまうので。
「なんだか寂しくなってきちゃった」
「どうすれば、寂しくなくなるかな?」
「誰かに会ってみたい」
「じゃあ、誰と会うと楽しくなるかな?」
という展開が生まれてきますよね。これが、できる選択肢を増やしていく、ということです。
そして、徐々に学校に近づけていく。ポイントは、感情と結びつけることです。
「どうすれば、学校が安心の場になるかな?」
「どうすれば、学校で楽しく過ごせるかな?」
学校に行かせたいという親御さんの気持ちはわかりますが、いきなり「どうすれば学校に行けるかな?」はNGですよ。学校に行くことに対してピリピリしている子どもからしたら、学校に行くことが前提になっている誘導尋問のように受け取れるからです。
大事なのは子どもの気持ちなので、子どもが学校という場で気持ちが安らぐとか、元気になれる場面があるかどうか。
その答えが出やすい、つまり、できる選択肢が増えるような聞き方をしてあげることです。
子どもの気持ちが見えてくると選択肢が広がる
実際にあった例で、「どうすれば学校で心地よくいられるかな?」と不登校の子に聞いたお母さんがいらっしゃいました。
答えは「保健室だったらリラックスできる」。
「保健室の先生が好きなの?」
「うん、なんか安心できる」
そこで初めて、お母さんは保健室登校を提案しました。子どもの気持ちがわかったからですね。「図書館」「校長室」という子もいるかもしれません。選択肢はいろいろです。
「どうすれば学校で楽しい時間を過ごせそうかな?」
「体育の時間は楽しい」と体育の時間だけ行っている子もいます。
最近の学校は部分登校が許されていることが多いので、給食時間や部活だけ行ったり、好きな教科のときだけ時々行くという子もいます。これも選択肢がたくさんありますよね。
そういう「どうすれば〜」の質問をしていくと、保健室以外は安心の場じゃないんだな、教室に何か原因があるのかな、と不登校の理由がなんとなく見えてきませんか。
でもそれは、親が自分の安心のためにわかっていればいいことです。子どもをさらに追及するのはやめましょう。
「理由」ではなく、「気持ち」が全てです。人間は気持ちで生きているんですから。
質問をしたときに、子どもから回答がすぐに出てこなくても焦らないでください。脳は質問に対して答えを探しにいくという機能があるので、回答がすぐ出なかったとしても、その問いに対して子どもはずっと答えを探しにいき続けます。