セールで「トクした」と喜んではいけない
春夏秋冬、季節ごとにさまざまなセールが開催されています。たとえば、Amazonでは夏にプライムデー、秋にプライム感謝祭が有料会員限定で行われ、11月下旬からはAmazon会員なら誰もが参加できるブラックフライデーが開催されます(2024年は11月29日~12月6日)。
ブラックフライデーは、楽天市場(11月21日~27日)やイオン(11月22日~12月1日)など大手ECサイトやショッピングセンターも開催しており、季節の風物詩のように、心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、セールで爆買いして、「●万円もトクをした」と浮かれる人はほぼ間違いなくお金が貯まりません。
「○○セール」「割引」「おトク」「ポイント」などという言葉を聞くとワクワクしますが、家計を循環として捉えた場合、年中行事のセールがおトクどころかマイナスの影響を及ぼすかもしれないという視点を忘れてはいけません。
必要な時に必要なものが躊躇なく買えること、値の張るモノやサービスも、自分にとって価値があると思えば、他の支出との折り合いをつけながらも手に入れることができること、このような状態は確実に私たちの幸福感を高めてくれます。それを可能にするのは家計が循環しているからです。
家計を循環させるにはどうすればいいか
今だけでなく、10年後も20年後も、年金生活になっても、必要な時に必要なお金が出せるように、ちょっとした贅沢を楽しむことができるように、ライフサイクル全体を通じて家計が循環していくシステムを構築することが不可欠です。
図表1は家計における支出構造をイメージしたものです。親元で暮らしている人は別にして、独立した家計を営んでいる人の多くは、支出の中でも「住まい」と「日常生活」が大きな割合を占めていると思われます。
「住まい」には、家賃や住宅ローンだけでなく、管理費、固定資産税、火災保険料や地震保険料など、住まいに関するすべての支出を含めたほうが管理がしやすいです。日常生活は水道光熱費、食費、日用品費など、暮らしを維持するための支出です。これら以外の支出は、家族構成や年代によって異なるでしょうし、それぞれの個性が現れるところです。