まさかオジイサンに恋するなんて…
バブ子さん40歳の時に出会ったA氏は当時65歳。妻とはずいぶん前に死別していました。仕事の相談をしているうちに、彼への思いが高まっていきます。
「お父さんみたいな感じでしたね」
精力的に事業をこなすパワフルな男性は、自分を頼ってくる娘ぐらいの年下女性は可愛くてたまらないのでしょう。これまでの人生で培ったビジネスのノウハウをどんどんレクチャーしてくれました。バブ子さんにとって彼は、恋の相手であると同時に、事業のパートナーとも呼べる存在でした。
「まさか自分がこんなオジイサンに恋するなんて。若いころあんなにメンクイだったのに……。ホンっとに、見た目オジイサンでしたよ」
40過ぎたバブ子さん。ルックスより大切な価値があると気づきました。
「お金、です。夢を叶えるためにはやっぱりお金が必要。そのお金を自力で稼ぎ出せる男性は魅力的だと思ったのです」
夫との節約生活でお金に苦労した彼女が、40代でたどり着いた境地です。
「ちょっと、200万円貸して」
しかし、時と共に、二人の関係に変化が訪れます。
「オジイサンがさらにお爺チャンになっちゃって。彼、仕事するのもしんどくなっちゃったみたいで、事業とかも息子さんに渡して引退しちゃったんです。一応退職金とかまとまったお金は受け取ったらしいんですが」
金持ちだったころの生活基準を下げられないのは、A氏もまたジュンイチと同じでした。
引退したA氏の貯金はどんどん減っていき、すると、バブ子さんにお金を無心するようになったのです。
「ちょっと貸して、200万円貸して、というので、すぐ返してもらえると思い貸したんです。そしたらちっとも……」
高学歴・イケメン・資産家の息子だった夫ジュンイチは、バブル期の女子大生から見れば、理想の王子様。「憧れるな!」と言うほうが無理でしょう。バブ子さんが幸せの絶頂で結婚したのは、容易に想像できます。
老後の資金が不安なら、節約・貯金よりも「その分、あんたが稼げ!」と私なら言いますが、バブ子さんがイケメン夫に従ったのは、やはり彼が好きだったんでしょうね。
「自分のお金の範囲で趣味にハマってるのなら全て許容範囲だった」と言うバブ子さん。
ここにも彼女の懐の深さと母性を感じます。