スーパー側がセブンの商品力を支えている

それは、「金のハンバーグ」や「金のボロネーゼ」などセブンプレミアムの商品開発を担っているのが、ヨーカ堂やヨークベニマルといったスーパー側の開発部門だからです。

セブンプレミアムの開発体制の人数は、加工食品の分野では、ヨーカ堂などスーパー側所属の開発者が19人で全体の半分以上を占めており、生鮮食品の分野ではその数が39人で全体の約4分の3を占めており、スーパー側が食に強みを持つセブン‐イレブンの商品力を支えているのです。

このような足枷を伴う今回のグループ再編計画は、非中核事業をひとくくりにしただけで構造改革が前進したとは言えず、祖業との出資関係を断ち切る覚悟が足りないという見方もできます。グループ構造最適化に向けたビジョンとそれを進めるためのマイルストーンが企業価値の向上とセットで示されていないのも懸念されるところです。

今回の中間決算(2024年3月~8月期)では、グループ全体の売上高9兆2870億円(前年比6.8増)に対して、営業利益は1869億円(22.4%減)となり増収減益となっています。営業利益の内訳を見ると、国内コンビニ事業が1277億円(7.8%減)、海外コンビニ事業が733億円(35%減)となっており、コンビニ事業が業績の足を引っ張る形となっています。

なぜ国内外で「セブン離れ」が起きているのか

海外コンビニ事業はグループ全体の売り上げの約7割を占めており、その中心となっているのが北米市場です。

米国では恒常的に物価が高騰しており、これがセブン‐イレブンのターゲット顧客である中低所得者層を直撃し、2023年9月から2024年8月までの米国国内既存店の売り上げは12カ月連続で前年を下回っています。

セブン‐イレブンの店舗
写真=iStock.com/Prapat Aowsakorn
※写真はイメージです

一方、日本国内のコンビニ事業でも既存店の売り上げが、2024年6月から8月にかけて3カ月平均で前年比0.4%減となっています。これは、2023年3月から2024年2月までコロナ明けで増収が続いたことから一時的な調整局面に入っているとの見方もできます。

なぜなら、PB(プライベートブランド)のセブンプレミアムをNB(ナショナルブランド)よりやや高めの価格に設定し、独自開発の惣菜を販売し攻勢をかけるという高付加価値戦略は継続されているからです。

このことから、今回の業績悪化の最大の理由は、北米市場の低迷にあることがわかります。こうした状況にもかかわらず、北米市場では、物価高などの外部要因に対して効果的な対策が打てていないというのが実態です。それゆえ、来期までに不採算の約440店舗を閉鎖する意向を固めるに至っています。