裏金を作ってまで「違法バイト」を欲している

手渡しバイトの外国人を採用した経験のある関西地方のある建設会社社長から、こんな証言を得た。

「ただでさえ人手がいないところに、残業時間を規制されたらひとたまりもない。給与手渡しであっても、働いてくれる人がいればありがたい。実習生や特定技能外国人を採用すると、国が定める管理組織に管理費を払わなければならないし、社会保険料の企業負担も大きい。そう考えると、安いものです」

もちろん違法なバイトのため、人件費として帳簿に記載できないお金となってしまうが、社長自身の給与を増やし、そこから支払っていると話した。

会計ソフトウェアに仕訳を入力する女性
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「転職」は事実上不可能に近い

最後の理由は、国の在留資格制度の問題である。

「特定技能」は、転職を認めない技能実習制度に対し国内外から批判があり、生まれた制度だ。世間一般には特定技能=転職可能な制度といったイメージが広がっているが、実際はそうではない。

外国人にとって手続きが煩雑すぎるため、転職は事実上不可能に近いのが実情だ。

特定技能の在留資格は所属機関に紐づいている。同職種――たとえば、ラーメン屋Aからラーメン屋Bへの転職など――でも在留資格の「変更」が必要になる(同じ仕事のため、同じ在留資格「特定技能」から「特定技能」への変更となる)。

転職先の登記事項証明書や間近の決算書など、転職先の所属機関に関する必要書類も多い。日本人であっても、その手続きを一人で行うのは難しいだろう。