小学6年生の突飛な発想の裏側にあるロジカル思考に注目!
受験生たちのエクセレントな珍解答をご紹介し、思い切りホメちぎりたいと思います。
さて、今回は小6男子。男の子っぽい幼さをまだ残したお子さんです。彼と過去問を解いていたときのこと。問題は、「東京駅丸の内南口周辺の高層ビル群の配置が東京駅西側の気候に与える影響を説明せよ」というものでした。
正解は「夏に南東から吹く季節風を高層ビルがさえぎり、風通しが悪くなることでヒートアイランド現象が進み、夏の気温がさらに上昇する」なのですが、彼の答えは「冬に吹く北西からの季節風がビルにあたり、降水量が増える」。一見、まるで不正解なのですが、妙につじつまが合っている。「惜しい!」というよりも「ワンダフル!」。
丸の内周辺といえば、100メートル超級の高層ビルが乱立する都心。それらが風をさえぎる、というところまでは正解。ここから、彼の想像力が爆発します。
高層ビルに沿って上昇気流が発生し、雲ができて雨を降らす。これはまさか……。
「冬に北西から湿った空気を運んできた季節風が、越後山脈にぶつかり雲を形成、大雪を降らし、乾いた風が太平洋側に吹き下ろす」という気象学の理論“フェーン現象”の知識を応用してしまったわけです。ビルを山脈に見立てたんですね!
現在の東京では、条件的にまだなさそうですが、今より巨大なビルがもっと増えていくと、もしかしたら、どこかで“ビル雨”が降るかもしれません。
突飛とはいえ、こういった発想が生まれるお子さんの長所は「物事には必ず因果関係がある」ということを思考の軸にできることです。中学受験では実験観察系の思考問題に相性がよく、将来的にはロジカル思考炸裂(さくれつ)の理系人材になる素質あり!
「都市化によるヒートアイランド現象が積乱雲の発生と成長を助長し、ゲリラ豪雨の原因となる」という近年叫ばれている問題も、彼の思考にはスーッと染み込んでいきます。お子さんの記述解答を見ると、いろんな発見があって、楽しいですよ!