恋愛における韓国の男性といえば「彼女を束縛しがち」と言われることが多い。メッセージのやりとりが多く、女性が1人で遊びに行くことも歓迎しない。そんなイメージが一般的だった。
しかし、その傾向に変化が起きているようだ。
「今の彼女は見た目が好みのタイプだったのと、サービス業なので休みが別々なのもよかったです。前の彼女は休みが一緒で、自分の時間がとれなくて苦痛でしたから」
そう話す男性は、一昔前ならば周囲からうるさく結婚を勧められていたであろう32歳。大手企業に勤めていて生活も安定している。
マッチングアプリで知り合った20代の彼女と付き合うようになって半年が経ったが、周囲に結婚した人はわずかで、本人もまだ考えていないという。
韓国の恋愛は互いに束縛しあうことも多いのでは、と聞くとすぐに否定した。
「人それぞれでしょうけど、昔の話じゃないですか。自分の周りにはそんなタイプはいないですね。少なくとも僕は、週末の自由な時間をごそっと彼女だけにもっていかれるのは勘弁してほしい」
日本よりはるかに急激な少子化だが、マッチングアプリは拡大
彼女とのデートは家でNetflixの映画を観たり、天気のいい日には漢江沿いの公園でテントを張ったりとのんびり過ごすことが多い。「お金もかからないし、リフレッシュできていい」という。
若者のそんな恋愛観を反映してか、韓国では「下がり続ける婚姻率&出生率」が社会問題になっている。1992年に「1.76」あった合計特殊出生率が、1人を割ったのが2018年。以降も下がりつづけ、昨年は「0.72」を記録した。
合わせて、未婚率も驚くほどのスピードで上昇している。19歳~34歳までの未婚率は2000年に54.5%だったが、2020年には81.5%まで急上昇。20代後半では54.2%から87.4%に、30代では18.7%から56.5%と全世代で急上昇し、いずれの世代も日本よりも20ポイントほど高い。
しかし恋愛に興味がないというわけではないようで、マッチングアプリ市場は拡大し続けている。
韓国では男女の出会いのきっかけとして、友人知人を通して1対1で紹介される「ソゲッティング」も健在だが、コロナ禍以降はマッチングアプリの利用者がぐんと伸びた。