受験期に入ったらオメガ3系を毎日とる

一方、もう1つの必須脂肪酸であるオメガ3系は、どんな作用があるでしょうか。

オメガ3系には、オメガ6系とは反対に「炎症を抑える作用」があります。

日常的にオメガ3系を多くとっておくと、風邪をひいたり、アレルギー症状が出たりしたとき、炎症の症状が重くならずにすむと期待できます。受験期に入ったら毎日とることを、ぜひ意識してください。

何より、オメガ3系は脳の健康に直接かかわっている脂肪酸です。脳にとって、最高の活性剤となるのです。

オメガ3系はどんな食品に多いでしょうか? いちばんは青背の魚に豊富です。

植物油にも、オメガ3系を含むものがあります。主には亜麻仁油とえごま油です。これらの油には、α-リノレン酸というオメガ3系が豊富です。α-リノレン酸は体内で直接使われる一方、一部がDHAやEPAに変わり、脳の健康に働きます。

オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の必須脂肪酸の摂取バランスは、1対4が理想とされています。

この摂取バランスに整えるには、「亜麻仁油やえごま油を毎日、大さじ1杯ほどとる一方で、オメガ6系の油の摂取を控えるよう心がける」。こうすることで、必須脂肪酸の摂取バランスを整えていくことができます。

実際、亜麻仁油やえごま油を毎日とるようにしたら、子どもの情緒が落ち着いた、アレルギー症状が改善したという声をよく聞きます。ただし、亜麻仁油、えごま油も加熱調理に向かない油です。サラダや豆腐、お浸し、味噌汁などに生のままかけてとるようにしましょう。

ちなみに、α-リノレン酸は、サラダ菜、春菊、小松菜、白菜、ほうれん草、大根葉にも含まれます。これらの野菜も、受験生にどんどん食べさせてください。

「朝ココナッツオイル」で脳をパワー全開に!

もう1つ、受験生の脳活におすすめしたい油があります。ココナッツオイルです。

脂肪酸は、炭素が鎖のようにつながって構成されています。その長さから、短鎖、中鎖、長鎖という3つに分類できます。

短鎖は腸内でつくられる脂肪酸。長鎖は植物油や魚油など。そして、ケトン体回路をとくに活性化させる性質を持つのが中鎖脂肪酸です。

中鎖脂肪酸は肝臓ですばやく分解され、ケトン体をつくります。それによって、全身のミトコンドリアが活性化し、エネルギーの産生量を増やすと考えられています。

脳や体でのエネルギーの産生量を増やせれば、人はパワフルに活動できます。

こうした働きを期待できるココナッツオイルは、1日をエネルギー全開でスタートさせたい朝食でこそ、使いたい油です。

ココナッツオイルは、加熱調理にも使えます。炒めものや焼きもの、卵焼き、煮物、カレーなど何にでも使えますので、ぜひ、朝食づくりに活用してみてください。この油を使うと、食欲をそそるような甘い風味が料理に加わります。

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そこで、簡単にできるドライカレーのレシピを次に紹介しましょう。調理時間はわずか10分ほど。忙しい朝でも簡単につくれ、栄養バランスもよく、エネルギーの産生量を増やせると期待できるカレー。多めにつくり置きして冷蔵保存しておけば、3~4日は持ちます。汁が出ないので、お弁当にも入れられます。

なお、ココナッツオイルよりさらに効率よくケトン体をつくり出せる油があります。MCTオイルです。これは、ココナッツオイルなどから中鎖脂肪酸だけを抽出した油。

ココナッツオイルは、温度が低いと固まりますが、MCTオイルは無味無臭の透明な液体なので、サラダにかけたり、飲みものに混ぜたりしても味が変わらず、子どもにも受け入れられやすいはずです。

ただし加熱調理には向かないので、生のまま使うことがポイントです。

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