凶悪犯罪の関係者、不幸に巻き込まれた人の回が好評
街録の出演者のタイプは大きく3つ。自薦組、他薦組、チャンネル側からのオファー組だ。有名人もいれば、無名の一般人もいる。一般人といっても冒頭の通り、法律スレスレ、パンチの効いた危険人物たちが数多く出演する。
もっとも再生回数があったのはどんな人物か?
「歴史的な凶悪事件の関係者や身内です。オウム真理教の広報をしていた上祐史浩さん(前後編計378万回再生)、和歌山カレー事件の林真須美の長男(全3回379万回再生)などです。さらに、障がい者専用の風俗嬢とか、実父に壮絶な性被害を受けていた女性も、再生回数がすごかった。貧困や家庭環境など、自分ではどうしようもない不幸の渦に巻き込まれていった方の話に、視聴者は心を揺さぶられるようです。
こういう人々の人生にみんな引きつけられるのに、地上波での放送はまず不可能ですからね。有名人では、ガーシー(東谷義和)さん(前後編301万回再生)や中田あっちゃん(中田敦彦、同441万回再生)など、クセの強い人たちの回が人気でした」
一方、とある回では、新宿・歌舞伎町のホームレス立ちんぼが登場。そのうち彼女は覚醒剤の影響か途中から意味不明な発言をして、画像が強制終了した。テレビ番組ではありえないが、三谷流はアリ。「街録は無理にオチを作らないようにしています」
自分のコメントに納得できないという元反社の回はボツに
街録した後にボツになったことも少なくない。取材後、「真っ当な職場に就職したので、自分の過去を晒されたくない」と連絡してくる人や、「(街録時の)自分のコメントに納得できないから投稿しないでくれ」と話す元反社の人もいたそうだ。
番組タイトルも、ここで文字にするのも憚られるほど刺激的なものが多い。サムネイルという番組トップ画像に使われるので、視聴に誘導するには非常に重要だからだ。しかし「タイトルほど内容が刺激的ではない」「本人の話ではないことをタイトルにうたうな」などとコメント欄に書かれることもある。
番組タイトルを少しだけ紹介すると……。
「オリラジ中田敦彦 松本人志を痛烈批判 吉本幹部から謝罪要求も 絶対謝らなかった訳 取材日2022年12月21日」
「ガーシー東谷義和 一晩で9人抱絶倫 某タレント抱き都落ち 島田伸介にアテンドし… 取材日2022年6月17日」
しかし、こうした編集画像を取材者側に確認用に送ると同時に、タイトルも了承済み。「危ない橋は渡りません」と三谷氏は、ここでもリスク嫌いの面を覗かせる。
元スノーボード・オリンピック日本代表選手の今井メロさんの回のタイトルは「今井メロの35年」。他の回とは違ってタイトルはあっさりしているが、これは本人がNGワードをあらかじめ提示していたため。
それでも視聴者としては逆にシンプルなタイトルに興味を覚えるし、内容も非常に良いものであった(再生回数は平凡だったが)。「整形を繰り返した」と語る今井さんだが、紆余曲折あって、今の生活に凛として立ち向かっている。整形を超えた美しい表情がしっかり映像に収められていた。「画像の編集時に、いい顔を撮れてるとホッとするんですよねえ」。男女関係なく、自分の飾らない生き様を赤裸々に告白してしまう……それこそがインタビュアー三谷さんの真骨頂なのだろう。