早期に見つければ、死亡率を下げられる

ただ、大腸がんの場合は、がんの発生から深刻な状況になるまでに通常5〜10年ほどかかるため、ある程度進行しても命が助かることは多いのです。

便潜血検査でも死亡率を約6割も減らせるという報告もあります。何より「さぁみんなで内視鏡検査をしましょう!」といえるほど大量の検査を行う施設がありません。ですから、まずは年に1度の便潜血検査でファーストスクリーニングをしていこうというのが日本の現状です。

【図表】大腸がんの死亡リスクを減らすのに大切な2つの検診
出所=『腸内細菌の科学

大腸がんの発症が若年化してきていることもあり、国は40歳以上の人に年1回の受診を推奨しています。大腸がんには遺伝性のものもあるので、一親等以内の家族に大腸がんの発症歴がある場合には、必ず40歳から検診を始めるようお勧めします。

大腸がんリスクを高めるものは何なのか

一方、米国では年々大腸がん死亡率が減少傾向にあります。その大きな理由の1つは、保険制度の改正に伴い、内視鏡を含む大腸のスクリーニング検査が受けやすくなったことがあります。また、米国では地道に取り組んできた大腸がん予防策が30年もの時間をかけて効果として表れているというのもわかってきました。

日本も、40歳から便潜血検査、50歳からは5年に1回内視鏡検査を受けるといった形にするほうがいいのかもしれません。

本書の便秘に関する項目で、便秘が大腸がんのリスクになるという明確なデータはないと紹介しました。では、なにが大腸がんのリスクとなるのでしょう。

ヒトを対象とした研究では、これまでに食べ物と腸内細菌が大腸がんのリスク因子になることがほぼ明らかになっています。