貧困虐待家庭から社長夫人へ

高級ブランドをさりげなく身に着けている希美は、一見、何不自由なく暮らす、裕福な家庭の妻である。夫は中小企業の社長で隼人と十歳以上離れた妹を育てていた。夫は再婚相手で、隼人は前の夫との間にできた子どもだった。

希美は生まれた頃から父親がおらず、気性の激しい母親の下で育った。母親は、稼いだお金をすべて自分の身なりに使い、希美はいつも同じ服を着て、満足に食べ物さえ与えられていなかった。毎日風呂に入ることさえ許されなかったため、不潔だと学校でいじめられることもあった。母親は、よく自宅に男性を連れ込んでいた。