元内親王から選ばれてきた戦後の祭主

なぜそうした事態が続いたのか。はっきりとした理由が説明されているわけではない。

だが、『日本書紀』に記された伊勢神宮成立の経緯を見ると、はじめ宮中に祀られていた天照大神が疫病を引き起こしたため、天皇から引き離され、遠く伊勢の地に祀られるようになったと述べられている。天皇が天照大神に近づくと災いが起こる。古代の人々には、そうした思いがあったものと推測される。

その代わりに、天皇の娘である内親王や女王が斎王と定められ、現在の三重県多気郡明和町にある斎宮さいくうにおもむき、伊勢神宮に奉仕することとなった。この制度は、南北朝時代まで続く。戦後の祭主は、この斎王の伝統を引き継ぐものと考えられる。