生徒たちが議論をして、いまある制度を問い直す

さて、新科目「公共」でも、小中の社会科と同じ「政府は決して間違っていない」という姿勢を継承するのであれば、結局は投票率が改善することも、人々が公共的な空間で熱く政策について議論することも、ほとんど生じないでしょう。

渡部竜也『大学の先生と学ぶ はじめての公共』(KADOKAWA)
渡部竜也『大学の先生と学ぶ はじめての公共』(KADOKAWA)

だからこそ、政府とは直接は関係のないメディアに、御用学者ではない人間が本音で新科目について考えていく記事を出すことはとても大切であると思います。

ただ、一番良いのは、みんなで「公共」を良いものにするために、SNSなどの「公共的な空間」で議論する機会がどんどん増えていくことかと思います。

そこにこそ新科目「公共」の未来があるのです。

そして高校生の皆さんには、他者と議論しながら政策・制度を根源的に問い直し、納得できるものを選んでいけるようになってほしいと思います。

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