「世界はどのような対応をしているか」調べてみる

世界に眼を向けると、北南米や西欧諸国は同性婚またはその代替制度を認める国が多く、アジアでは台湾で認められています。一方、ロシアや中国などでは同性愛は法による取り締まりの対象になっており、イスラム教の国の中には死刑を採用している国もあります。

結婚式で相手の女性に指輪をはめる花嫁
写真=iStock.com/GeoffGoldswain
※写真はイメージです

その国の宗教や歴史、そして人権意識の差異が姿勢の違いに大きな影響を与えているようです。

実は日本は、制度的に同性婚を認めたことはありませんが、同性愛には宗教的にも歴史的にも寛容な国であったことは、多くの歴史学者が指摘するところです。

同性愛を不自然な悪徳とする考え方はむしろキリスト教の国々の方がはっきり持ち合わせており、そしてこうした考え方は明治時代に西洋から日本にも伝わったのですが、明治時代の終わりまでこの考え方はほとんど広まらなかったようです。

しかし大正時代になると、軍隊の中で同性愛が問題視されるようになり、男性の同性愛者は女性性(「弱々しさ」「女々しさ」など)と結び付けられるようになります。

戦後も特に男性の同性愛者は女性性と結びつけられることで侮辱や嘲笑の対象となり、メディアでもしばしばお笑いという形でそうした見方や考え方が発信されてきました。

このように考えると、日本において同性カップルへの差別はかなり最近生まれたものであり、しかもそれは国家や教育やメディアが生み出したものと言えそうです。

「問題解決に向けてどうしたら良いか」を考えてみる

そして現在、同性カップルが受ける差別的な状況を解消しよう、同性カップルにも異性カップルと同等の権利を法的に承認しようとする意識が日本国民の中で高まってきたにもかかわらず、日本政府が一番後ろ向きという状態にあります。

世論が同性婚またはその代替制度の法制化に概ね前向きで、宗教上の問題もあまりなく、そして地方政府も制度の見直しに前向きなところが多いのに、中央政府にその気がないというケースは、世界ではあまり例がないようです。

このまま政府は裁判の動向を見守るべきなのでしょうか。それとも1日も早く国会の審議に入るべきでしょうか。またどちらが問題解決において良い結果を生み出すでしょうか。

同性カップルが不利益を被っている現状の早い改善を望むなら、審議は1日でも早い方が良いでしょう。

ですが、問題解決に消極的な政府が不十分な制度を作ってしまうくらいなら、最高裁にしっかり違憲判決をしてもらった方が良いようにも思います。

「裁判を見守るべきか」それとも「国会の審議に入るべきか」、みなさんはどう思いますか?