日本のお米は少数派

ちなみに、世界で一番お米を作っている国は中国です。なお、2位はインドで、日本は10位です。消費量の1位も中国で、2位はインド、日本は9位です。

これらのことからもわかるように、世界の中で見てみると、日本のお米は少数派に属するのです。

日本では、お米は白飯でおかずと一緒に食べることが多く、ご飯の甘味やうま味を感じながら、お魚やお肉といった他の食べ物にも合わせやすいものが求められます。逆に、強烈な香りや味がするものはあまりありません。

比較的硬いお米が使われている

では、海外のお米はどうでしょう。中国では、お米を肉や魚介を一緒に調理しても形が崩れないよう、比較的硬いお米が使われています。これは、日本のチャーハンで使われるお米とも少し違うお米です。

スペインでは、お米料理といえばパエリアなどが有名ですが、煮込みながらスパイスで味をつけて食べるので、煮崩れしない長粒の硬いお米が使われています。

パエリアには煮崩れしない長粒の硬いお米が使われている
写真=iStock.com/svariophoto
パエリアには煮崩れしない長粒の硬いお米が使われている(※写真はイメージです)

イタリアでは、お米といえばリゾットが有名ですが、大きめの粒のご飯を柔らかくした後に、バターで絡めてから煮るので、煮崩れしない中粒の硬いお米が使われています。

ベトナムやタイ、ミャンマーなどでは、ナシゴレンやガパオライスのように、白米を蒸したり煮たりして柔らかくした後におかずと一緒に食べたりすることが多く、長粒の硬いお米が使われています。

以上のように、お米と一口に言っても、それぞれの国には色々なお米文化があり、それぞれの地域の食文化に適したお米が根付いています。

「日本米の良さ」はまだまだ知られていない

日本人は、「日本のお米が一番美味しい」と思っていますが、世界では日本米の良さを理解している人はまだまだ少ないのが現状です。日本のお米を海外に輸出していくのであれば、人気の高いお寿司などの食文化と一緒に伝えていくことも重要でしょう。

また、栄養価の高いお米や、特定の料理に合うお米なども、海外に販売できる可能性があります。このようなことも鑑みて、これからの日本の米づくりを考え直さなければなりません。

一方で、日本国内では今、世界中のお米の料理が食べられる環境にあります。その中では、日本も世界のお米の美味しさと食文化を知ることができます。「お米は白飯だけでなく、色々な食べ方があるのだ」ということを頭の中に入れて、海外に発信することも必要になってくるでしょう。

以上のようなことが、これからの世界に向けてのお米戦略として重要ではないでしょうか。