独りで抱え込んではいけない

大阪府箕面市の臨済宗妙心寺派「松雲峰 寒山寺」は良心的だ。HPの「よく頂くご質問」で「檀家を離れるときに、離檀料は必要ですか?」問いに対して、「当寺から請求することはありません。」と回答している。

不要とはしていないが、あくまでお布施としてお気持ちの金額をということだろう。

ネット上では、常識的な離檀に対するお布施として5万~20万円をあげているケースが多い。ただし、これはお布施としての金額なので、お寺の提示額がお布施だけなのか、墓の更地化に要する費用を含むのかの確認が必要だ。

高額離檀料などのお布施を請求された場合は、まずはお寺と話しあうことが重要だが、埒が明かない場合は、全国の消費生活センター[全国共通ダイヤル188(イヤヤ)]に相談することができる。

ただし、話を聞いたうえで、お寺との話し合いを勧めることが多いと思われるが、お寺としても公的機関に話をされると態度が変わることもある。高額のお布施請求をされ、宗派の本山にクレームを入れたところ、とたんにお寺の態度が変わり、お気持ちでけっこうですといわれたという事例がある。

宗派の本山としては、本来お布施であるはずの離檀における「献金」をあたかも料金のように請求し、しかも国民生活センターの発表事例のようにローンを勧めたとか、過去帳の名のある故人の人数で決めるようなお寺の態度は苦々しく思っているはずだ。

墓。京都、日本 2015年10月10日
写真=iStock.com/sguler
※写真はイメージです

また、そもそも離檀が必要なのかも考えてよいだろう。年間数千円から数万円程度の管理費用をお寺に支払っておけば基本的には維持できるわけで、頻繁にお墓詣りができなくても、本来、弔いとは気持ちの問題だ。自分がお寺のお墓に入るか否かの自由はある。

宗教の自由とは、信仰する自由に加え、信仰しない自由、信仰をやめる自由も当然含まれるはずだ。お寺も人口減などで檀家が減り、苦しい事情があるからこうした問題が起きるのだろうが、こうした法外なお布施の請求が仏の御心に反しないのか質したい。

【関連記事】
なぜ「女性の歌舞伎役者」は存在しないのか…「男性ばかりの歌舞伎界」でいまも続く"女人禁制"という理不尽
「財産が少ないから相続トラブルは起きない」は幻想…「両親を世話してきた姉vs疎遠の弟」が勃発したワケ
「実家をセカンドハウスにしようかな」で巨額損失…気軽に相続すると大やけどする「田舎不動産」あるあるとは
スイスで安楽死するための費用約200万円の"内訳"…長寿大国日本に安楽死希望者は多いが実現はまだ遠い理由
なぜ自民党と新聞は「愛子天皇」をタブー視するのか…「国民の声」がスルーされ続ける本当の理由