「値下げ」なのに大失敗した大塚家具
値下げをしても叩かれたり、顧客離れが起きたりするケースもある。
大塚家具が象徴的だ。同社は、大塚勝久会長と、娘の久美子社長の対立が続いていたが、2015年の株主総会で久美子社長が勝利、勝久会長は同社を去ることになった。その直後に、大塚家具はセールを行い、低迷していた売り上げは一時的に回復したが、セールが終わると反動で売り上げは落ち込んだ。
その後、同社は会員制を廃止し、これまでの高級路線を転換し、低~中価格帯の商品を増やした。しかし、これによって既存顧客は離反、新規顧客を取り込むことにも失敗し、業績は低迷し、資金繰りは悪化した。
2019年にはヤマダホールディングスの傘下に入り、2022年にはヤマダデンキに吸収合併される結果となった。
値下げをすることには、下記のようなデメリットもある。
1.ブランド価値の棄損
2.既存顧客の離反
3.競争優位性の喪失
4.収益性の悪化
2.既存顧客の離反
3.競争優位性の喪失
4.収益性の悪化
値上げが相次ぐ状況の中で、価格を据え置くことは、「実質的な値下げ」となることもある。それを考えると、「値上げをしないリスク」も顕在化しているように思える。
値上げラッシュが起きている現在こそ、「適正価格とは何か?」「価格に見合った価値とは何か?」を真剣に考えるべき時であるように思える。