嫉妬心を抱いてしまったら、どう対処すればいいか。教育学者の齋藤孝さんは「たとえば自分が好意を持っている人に好きなタレントがいて『あの人かっこいいよね』と言われたとき、『どこがいいわけ』などと言ってはいけない。そうではなく、嫉妬心や妬みの感情が大きくならないうちに、相手をほめちぎってそれらの感情を追い出してしまうのがベストだ」という――。

※本稿は、齋藤孝『自分を動かす魔法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

泣きの絵文字を持つ吹き出しを持つ女性
写真=iStock.com/ttolgart
※写真はイメージです

人との比較で何一ついいことはないが抜け出せない

いまはほとんどの人が子どものころから、誰かと比較して、自分のほうが上だとか、下だとか判断するのがクセのようになっています。

たとえば勉強については、テストの点数や偏差値など、自分の評価がはっきり数字で出ます。運動にしても、体力測定や球技の得点力など、数字が明確に示されます。

何かと数字で比較され、喜んだり、落ちこんだりしてしまうのです。

数字にあらわれないことについても同じです。たとえば、

「自分より勉強ができないあの子が学級委員に選ばれるなんて」
「うちもお金持ちだったら、あの子みたいにかっこいい服を着られるのに」
「あの子くらい積極性があったら、友だちがいっぱいできるのに」
「どうして女子からは嫌われているあの子が、あこがれの先輩の彼女なの?」

など、誰かと比較しないと自分を認識できないようになっている感すらあります。

けれども「自分が劣っているところ」や「自分にはないもの」を考えたところで、気持ちは暗くなる一方です。自己肯定感も下がります。

残念ながら、こうして身についた“比較グセ”は、大人になってもなかなか抜けません。「比べていいことなどない」とわかっていてもなかなかむずかしい。