今年4月に84歳で父親が亡くなった経緯
――お父さんは、今年4月に84歳で亡くなられたそうですね。
フジタ 虚血性心不全だったそうで、救急隊の方から連絡があって病院にすぐに行ったのですが、すでに亡くなっていました。施設で発作が起こり、僕に電話があった時点でもう意識がなく、呼吸も止まっていたと。
僕は去年の11月に結婚して、父が亡くなる1週間くらい前に子どもが生まれたんです。その報告の電話をしたときは元気そうで喜んでくれていたんですね。ちょうど亡くなった日の昼に子どもを連れて会いに行く予定だったのですが。
――内縁の妻は、お父さんが亡くなったことに対してどんな様子でしたか。
フジタ 報告はしたんですが、葬式には来なかったですね。内縁の妻の子どもであるK君も、もう20歳を過ぎたその子どもも、僕の父親に育ててもらったにもかかわらず葬式に顔を出しませんでした。
――お父さんが内縁の妻にお金を渡していたのは、愛情表現なのでしょうか。
フジタ 色々と話を聞いた結果、そうだと思います。認知症で足も悪くなってきたのに、どうしてもお金だけは手渡しで渡したいと。洗脳なのか、愛情なのかわかりませんけど、執着していたように思いますね。
父親とちゃんとした話をしたかった
――フジタさんご自身は、介護を通してお父さんとの関係を修復したいという気持ちがありましたか。
フジタ 修復というより、父親と何も話したことがなかったので、もう少し大事な時期にちゃんとした話をしたかったです。最後の1年くらいは内縁の妻が一切関わらず、2人きりで過ごせたといえばそうですが、認知症だったので、過去の話や今の家族の話なんかはできませんでしたね。
――具体的に、どのような話をしたかったのでしょうか。
フジタ 僕の人生のことや進路のことも相談したかったですね。それは子どもの頃もずっとそうでしたけど。妻にも会ってもらいましたが、わかっているかどうか微妙な感じで。でも、孫が生まれることはわかったようで、すごく喜んでいたので。
――ご結婚されて、お子さんも生まれたそうですが、家族を持ってから、フジタさんのお父さんへの思いに変化はありましたか。
フジタ 父親になったら父親の気持ちがわかるかと思いきや、わかんないですね(笑)。何で僕を殴ったり、家から出ていって内縁の妻と暮らしたりしたんだろうとしか言いようがないです。ある意味、あれが洗脳ではなく、それだけ人を好きになれたのだとしたらすごいことだとは思います。