リスク分散は「投資の鉄則」

次に〈分散投資〉だ。投資でいちばん大事なことは株価の変動リスクをどう抑えるかだ。そのために投資は分散しておこう。リスク分散は投資の鉄則中の鉄則である。

特定の企業をいくら詳しく調査したところで、将来の株価を予測するのは不可能だ。とくに現代は基幹産業の移り変わりが激しい。次々にイノベーションが起き、トレンドは目まぐるしく変わる。いまはリーディングカンパニーでも10年後、衰退しているかもしれない。上場企業だろうが倒産するときは倒産する。倒産すれば株価はゼロだ。個別株投資の場合なら、最低5社くらいには分散しておいたほうがいいだろう。

また分散投資はメンタルの安定を保つうえでも有効だ。A社の株価が下落したとしても、B社の株価が上昇していれば、平常心でいられる。慌てて売り買いしてしまうようなまねは犯さないはずだ。先に述べたように、投資は長期運用がベストなのだ。

個別株はうまくいけば大きなリターンを取れる。ということはそのぶんリスクも高めだ。また日本株の売買単位は基本的に100株と決まっている。つまり株価2500円の企業の株式を購入したいなら、最低25万円が必要になる。

リスクを最小限にしたい人、あるいは資金に余裕がない人は、多くの企業が1つにパッケージされた投資信託がおすすめだ。個別株ほどのリターンは期待しにくいが、リスク分散において投資信託は最強だろう。そして100円から購入できる。

銀行窓口には絶対に行ってはいけない

さて最後に〈低コスト〉だ。手数料の高い運用商品はその時点で買う価値はない。投資に絶対はないが、それだけは断言できる。

株式に投資する運用商品を購入した場合、株価が上昇したらどうなるだろうか? とうぜんあなたは儲かる。そして儲かったぶん手数料も多く取られる。では株価が下落したらどうなるだろうか? とうぜんあなたは損をする。そして手数料もしっかり取られる。株価がどうなろうが、手数料はそれに連動して必ず発生する。だから手数料の高い商品は確実に不利だ。簡単な話だが、なぜかそこを見過ごす人が少なくない。

私と共著を出したこともある経済評論家の山崎元さんは「手数料の合計が0.5%を超える運用商品はすべてゴミだ」と断じていた。まったくそのとおりである。

よって投資をするならネット証券の一択だろう。ネット証券ならほぼ人を介さないぶん手数料が安めだ。

一方、銀行を利用するのは絶対NG。銀行には投資信託にかぎらず、多種多様な運用商品が取りそろえられている。窓口で相談すれば優しく丁寧に説明してくれるだろう。とうぜんだ。なぜならそれらの運用商品には手数料がたっぷり上乗せされているからだ。言うまでもなくそれは彼らの高い給料の原資となる。そりゃあ愛想もよくなるに決まっている。

銀行の窓口にある運用商品はさながらゴミの見本市である。どれもこれも手数料が割高だ。絶対に買ってはいけない。

銀行看板
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