若々しさを保つ「植物性のタンパク質」を含む食材

ここまでは摂取するタンパク質を肉から魚へシフトしましょう、という話でした。

ここでは、魚のほかに、ナッツなど「植物性のタンパク質」を増やしていくことも、若々しさを保つためには重要だという話をします。

白い器に入ったナッツ
写真=iStock.com/yul38885 yul38885
※写真はイメージです

アーモンドやピーナッツ、小豆や大豆といった豆類はおなじみですね。

ナッツ類は、おやつにそのままつまんでもいいですし、大豆は、豆腐や納豆、豆乳などの加工品として手軽に摂取できるでしょう。

旬の枝豆は夏のおやつにピッタリです。小豆は、あんこにすればおいしく楽しめます。白砂糖ではなく黒糖などを使ってつくれば脳の栄養としても満点のおやつになります。

豆類のほか、ブロッコリー、アスパラガス、アボカド、バナナなどにも植物性タンパク質は多く含まれています。

最近の研究も、とくに高齢になってからは、動物性のタンパク質を減らし、植物性のタンパク質に変えたほうが病気になりにくいことが証明されています。それは主に、長寿遺伝子の「mTOR」と呼ばれるものの働きと関係します。

mTORは、細胞の成長や増殖などをもたらし、若いときには活性化することで、多くの恩恵を体に与えます。しかし年をとったら、このmTORが異常な細胞増殖を起こし、場合によっては「がん化」することも出てくるのです。

どうしてこんな異常が起こるのかといえば、赤身の肉に多く含まれる、「ロイシン」のようなアミノ酸の影響とされます。

若いころは、このロイシンがmTORを活性化させるのですが、高齢になるとロイシンが体の中で余ってしまい、これが蓄積することで、mTORに異常を引き起こすというわけです。

このロイシンは赤身の肉のほかに、チーズなどの乳製品にも含まれています。また、魚でもニシンなどには多く含まれますし、鰹節や煮干しなど、出汁の材料になる魚介類にも含まれます(摂取する量は限られていますが)。

一方で植物性タンパク質には、このようなアミノ酸は、さほど多く含まれていません。ですから赤肉を減らし、大豆やナッツ類に切り替えることは必須なのです。

「卵を一日に3個」は避ける

卵もタンパク質を多く含む食品です。かつては、コレステロールが多いと誤解され、「動脈硬化を起こしやすいから」と多食を避けられていた食べ物でもあります。

しかし、現在では、卵を食べてもコレステロール値に変化はないことがわかっています。私たちのチームでも研究したのですが、卵を摂取しても血中のコレステロール値は上がらず、心筋梗塞の頻度も上がりませんでした。

先のロイシンについても、卵に含まれている程度の量は問題なく、逆に卵は、タンパク質のほかに天然の脂肪や、ビタミン、ミネラルの宝庫でもあるので、高齢者にはぜひ食べてほしい優秀な食材です。

ただ、卵はカロリーが高いので一日に3個以上を食べるのは避けましょう。私も朝食にスクランブルエッグをパンにはさんで食べるようにしていますが、夕食で食べることはめったにありません。卵は一日2個までにしておけばいいでしょう。