「最近のアニメは駄目ですね」
釜石商工高2年生の川畑勇真さん。将来の志望はアニメーター。きっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」。しかし同作のテレビ初回放映時(1995[平成7]年)には彼はまだ生まれていない。川畑さん、どのエヴァですか。
「たしか『序』だったと思います」
2007年公開の劇場公開アニメーション映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」のことだ。このとき、川畑さんは11歳。
「観て、すげえなと思って。それでアニメも見だして。内容は難しいんですけど、なんていうんだろう、14歳とかそこらへんの、自分と同じぐらいの人が戦ってるのを見て、こんなこと考えるのはすごいと思って」
それは絵だけではなく、物語とかも含めてということですね。
「内容です。最近のアニメは駄目ですね、内容がなくなって。(エヴァは)絵もいいし、内容もいいしっていうのが、すごくて」
最近のアニメが駄目というのは、ライトノベルから原作をもらってばかりでとか、そういう点が?
「というか……なんだろうな、絵だけで稼ごうとしてるやつとか許せなくて。クソ萌ブタどもが群がってるの、すごい許せないんですよ、最近のアニメは。やっぱり内容が大事で、観ていて楽しいというか、自分も影響されていくものが、ほんとうに面白いと思うんです」
川畑さん、アニメーターの仕事を手に入れるためには、何をする必要があると思いますか。
「誰も思いつかないようなことです。想像力というか」
どうやって手に入れますか。
「いろんなものを見て、いろんな人のいいとこを取り込んでいくみたいな。どんどん。マンガとか、アニメとか観て、『この人のこういうところは、すごいいい』とか、そういうことを」
想像力を手に入れるためには、釜石商工を出たあと、どうするといいと思いますか。
「『TOMODACHI~』でアメリカ行ったときに、ピクサーで働いている日本人の人の話を聞く機会があったんです。その人にいろいろ聞いたんです。夢はどんなまわり道しても諦めちゃ駄目で、別にアニメーションの学校に入る必要はないみたいなことを。あと、(アニメーション制作)会社に入って、自分の好きな人の下で学んでいくのもいいと言ってました」
それを聞いて、川畑さんはどういう作戦で行こうと思っていますか。
「高校を出たあとは、好きなことをしながら情報を集めていって、何歳でもいいから最終的になれればいいかなと思っています」
どこかのアニメ制作会社に入るということを考えていますか。
「まあ、それもいいですけど、最終的にはフリーになった方がいいかなと思って。一番いいのは、フリーでやって、誰かに見てもらって依頼が来るというのがいいと思います。アニメに合った絵が描けるのであれば」
この話を聞いてから2カ月後、こちらは釜石の幼稚園児・保育園児180人が描いた絵を Facebook の上で見ることになる。そのきっかけをつくった高校生に話を聞こう。