自民党の歴史上最多の9人が立候補

自民党の総裁選挙が9月12日、告示された。現職の岸田文雄首相が立候補を見送ったため、事実上、次の首相を選ぶ選挙となる。自民党の歴史始まって以来最多の9人が立候補。高市早苗、小林鷹之、林芳正、小泉進次郎、上川陽子、加藤勝信、河野太郎、石破茂、茂木敏充の各氏が名を連ねた。国会議員1人1票の「国会議員票」と、同数の「党員票」の合計で争われ、9月27日に新総裁が決定する。

自民党本部の外壁に掲げられた総裁選の横断幕=2024年9月12日午前、東京・永田町
写真提供=共同通信社
自民党本部の外壁に掲げられた総裁選の横断幕=2024年9月12日午前、東京・永田町

告示後にはさっそく9人による立会演説会が行われ、それぞれの候補が、自身が目指す国家観や政策について語った。NHKがまとめた各候補の発言の「見出し」は以下だ。

高市氏「安全で 働く場所がある 強い日本列島をつくる」

小林氏「経済政策に注力 世界をリードする日本をつくる」

林氏「不安を解決 これまでの経験と実績を使い切りたい」

小泉氏「生き方や働き方の変化に合わせ 人生の選択肢を増やす」

上川氏「覚悟を持って困難に立ち向かう 新たな日本を築く」

加藤氏「所得倍増を成し遂げ 改革を加速化する」

河野氏「物価高や老後の不安に向き合い 1つ1つ解決したい」

石破氏「どう地域の平和と安全を守るか根幹から考え直す」

茂木氏「新たな財源を確保し 増税ゼロでの政策を推進する」

果たして、誰の主張が自民党員・党友や、所属国会議員に響き、誰が総裁、つまり次の首相に決まるのだろうか。

「タブー」の重要政策に踏み込んだ岸田首相

岸田首相が残すことになる「置き土産」は相当に重い。支持率の低下に苦しんだ岸田首相は、これまでタブーとされてきた重要政策にも踏み込んだ。立候補を断念した後になって、「支持率は低くなったが、首相としては中々の成果を残した」といった評価の声が出たのも、そうした果敢な「政策転換」とも言える方針表明が背景にある。だが、その多くが具体的に実現・実行されたわけではなく、「口約束」の域を出ない。次の首相はこうした岸田首相の約束を実行する役回りを担うことになるが、その荷は決して軽くない。

まずは「防衛増税」である。防衛費を5年間で43兆円に大幅増額するという出費増は決めたものの、その財源として示されている増税の実施時期は先送りされたままだ。