効果を評価し、必要なものだけを使う
一流もショートカットキーを学んでいます。しかし、できる限り多くのショートカットキーを覚えようとは思いません。タイパ(時間生産性)の観点から「必要最低限のショートカットだけを覚える」という方針を採ります。それだとタイパを確実に上げることは無理ではないかと思えますが、実はその選び方に高度な戦略があります。
一流はまず、自分がどのような作業に最も多くの時間を費やしているのかを明確にし、その作業を効率化するショートカットを選びます。次に、そのショートカットが実際にどれほどの効果をもたらすのかを計測し、絶えずその効果を評価、再評価します。このような方法で、必要最低限のショートカットを継続的に見直しているのです。
さらに一流は、ショートカットを単なる「操作の省略」だとは考えません。彼らにとって、ショートカットは「目的までの最短ルート」なのです。ですから、新しいショートカットを知っても、すぐに記憶しようとしているわけではありません。その新しいショートカットが、現在使用しているショートカットよりも効果が高いと確信した場合のみ、学習します。この「必要最低限の効率化」こそが、一流が持つ最も重要な特性なのです。
必死に覚えても、それを使わなければ意味がない
ビジネスチャットをメールのように使う人たち
ビジネスチャットは、社内メールを平均49%も減らし、社内会議も25%も減らすといった時短効果があります(*1)。しかし、その使い方を間違えると、時短はできません。
ビジネスチャットで業務効率を上げている組織を見ると、チャットの送り手が時短のカギであることが分かりました。メールと同じように、丁寧で長い文を送ると、効率を落とします。
「○○担当課長代理、お疲れ様です。営業本部 営業開発グループ 担当部長代理補佐の□□です。先日の合同会議に参加いただき、誠に有難うございました……」
このように、堅苦しいチャットを送るのはNGです。こうしたチャットを受け取ると、相手はうんざりして放置してしまいます。
要点を先に伝えるのは効率的です。「要は何か?」を理解できないと、相手は残りの文章を読んでくれません。各企業の意思決定者826名にインタビューしたところ78%は10秒以内に要点を探し、それを理解すると残りの文章を読むことが判明しました。
しかし、場合によっては突然チャットが来て驚く人もいるかもしれません。唐突なメッセージは相手を戸惑わせて、ときに不快な感情を持たせてしまいます。
(*1)クロスリバー社調査、2020年9月、対象1921社