金融不安のリスク上昇が懸念される
銀行の財務悪化の懸念は、SNSなどを経由して瞬く間に人口に膾炙する可能性が高い。その場合、預金を引き出そうとする人が銀行の窓口に殺到するかもしれない。それは、2023年3月、米シリコンバレーバンクなどの一連の地銀破綻の引き金になったケースと同じだ。
2022年以降、中国では村鎮銀行(農村商業銀行よりも小規模の金融機関)の取り付け騒ぎが起きた。規模は小さかったが、不動産関連融資などずさんなリスク管理が顕在化した。その後の本土株や不動産価格の下落、理財商品の債務不履行やシャドーバンクの破綻などで預金者の警戒感は高まっているだろう。
今後、中国の金利が上昇すると一部の農村商業銀行が損失に直面し、さざ波がたつように他の銀行の資金繰り不安が高まる恐れがある。農村商業銀行と取引のあった都市部の商業銀行から預金を引き出す個人や企業が増える可能性もある。
今すぐそうした展開が起きるとは考えづらいが、不良債権処理が進まない中で国債価格が調整すると、中小の銀行を中心に中国金融システムの不安定感は高まることも懸念される。