※本稿は、平松類『名医が教える!目のトラブル解決大全 近視・老眼・白内障・緑内障・斜視・眼瞼下垂 ぜんぶ網羅!』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
若者の間で増えている「スマホ老眼」
白髪や足腰の弱り、耳の聞こえにくさといった老化現象は60〜70代頃に自覚症状が現れることがほとんどですが、目は身体の中でもっとも早く老化を自覚しやすい部位といえます。
目の老化現象の象徴ともいえる老眼ですが、実は見える距離のレンジが狭くなる症状のことを指しているだけなので、「若いからならない」というわけではありません。特にスマホやパソコン、タブレット、ゲーム機器などのデジタルデバイスがなくてはならない現代のライフスタイルは目にかかる負担が非常に大きく、若い世代の間で「スマホ老眼」に悩む人が増えているのです。
スマホ老眼も老眼と同様、目のピント調節機能が低下することで起こります。通常、年齢とともにピントが合う距離は遠くなっていき、20代では15cm、30代では25cmが目安といわれています。スマホやゲーム機器はピントを合わせるのが約20cmと距離が近く、30代ではすでにピント調節がしにくくなっているといえるのです。
実際に、30代どころか20代や10代で中年層以上の人がかけるような老眼鏡が必要になってしまったケースも珍しくありません。
「文字を読むときに思わず腕を伸ばしてしまう」といった症状が出るのは40代以降が多いため、若いうちは老眼じゃないと思い込みがちですが、20代から確実に目の老化は進んでいるのです。デジタルデバイスが手放せない世の中だからこそ、目を労るアクションもセットで習慣にしましょう。
「近視は遺伝」で諦めない。生活習慣で悪化を止める
「親が糖尿病だったから自分もなるかもしれない」、「うちはガン家系だから」という会話をよく耳にします。確かに、親や祖父母、親戚を見て、同じような病気にかかっているケースを目の当たりにすることも多いでしょう。
ただ、そうした病気の遺伝子をもっている人は、もっていない人に比べて発症リスクが高いというだけで、必ずしもその病気が100%発症するわけではありません。病気の多くは環境要因も大いに関係しているので、後天的な理由で発症することもあります。そのため、遺伝だからと諦めてしまうのは早計です。そこはまず理解しておいてください。