売り主が家を手放す5つの事情

【ポイント②】売り主が個人の場合は最初に「売却理由」を確認する

家の売り主は、個人の場合と不動産会社の場合がありますが、相手が個人であれば、最初の段階で売却理由を確認しておくことが大切です。

売り主の事情を把握することによって、「どの程度まで値下げ交渉が可能なのか?」という大まかな目安を知ることができます。

売り主が家を手放す事情は、大きく5つに分かれます。

①家の住み替え
②転勤などによる引っ越し
③家が不要になった
④教育資金などでお金が必要になった
⑤相続対策

相手が相続対策のために家を売る場合には、大幅な値下げが期待できますが、⑤→④→③→②→①の順番で値下げ交渉が難しくなる……と考える必要があります。

売り主が抱える事情に加えて、「いつまでに売却したいと考えているか?」という時間的なリミットも併せて把握しておくことも、値下げ交渉をスピーディーに進めることに役立ちます。

売り主が個人の場合は、長く住み続けてきた家に対して、強い愛着や思い入れを感じているケースが多くありますから、あまり極端な値下げ交渉をすると、「この人には売りたくない」という感情が芽生えることもあります。

相手の事情を知ることは、相手の気持ちに寄り添うことでもある……と考えて、誠実な対応を心がけることも、大事なポイントといえます。

家の形をしたオブジェと「SALE」の文字
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
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最初の時点で確認すべき“声かけ”の種類

【ポイント③】売り出し期間が長い物件は交渉次第で「値下げ」の可能性が高い

一般的に、販売開始から期間が経った物件ほど、値段交渉を進めやすくなる傾向がありますから、売り主が不動産会社の場合は、最初の時点で、「この物件はいつから売り出していますか?」と確認しておくことが大切です。

一応の目安となるのが「3カ月」という期間です。

山や家などの物件を売り出す際には、売り主と不動産会社の間で「媒介契約書」を取り交わしますが、その契約期間は最長で3カ月となっており、期間内に売却できない場合には、改めて契約を更新する必要があります。

なかなか売却できないとか、問合せや反響が少ないといった状況が続くと、不動産会社は媒介契約の更新を拒否される可能性がありますから、契約成立に向けて積極的に動くことになり、売り主を説得して、値下げ交渉に踏み切ることになります。

不動産会社が必死になるため、値段が下がる確率が高くなるのです。

僕は最初に自分の指値を不動産会社に伝え、3カ月の節目を迎える直前に電話を入れて、「まだ売れてないですか? 僕はいつでも購入OKですから、連絡をお待ちしてます」と伝えることをルーティンにしています。

家や山を希望の値段で手に入れるためには、きちんとタイミングを計りながら、粘り強く交渉を続けることが、何よりも重要なのです。