必要以上に謙遜すると見下される原因になる

どうでしたか? いくつチェックがついたでしょうか。

ひとつでも当てはまったら、あなたは謙遜さんだといっていいでしょう。

ただし、「やっぱり……」とため息をつかないでくださいね。

謙遜自体は、決して悪いものではありません。

むしろ、調和のとれた人間関係を築くうえで大切な行為です。

もともと、人に対して謙虚にふるまう謙遜の文化は、日本人の美徳といわれてきました。謙遜は、人間関係をスムーズに築いていく先人の知恵ともいえます。

でも必要以上に謙遜しすぎると、さまざまな問題が起こってきます。

たとえば、いつも人に気を使っているのに、なぜか自分は人から見下されたり、ないがしろにされたり、あるいは、「自分なんて」と自己卑下してしまったり……。

「考え方」「とらえ方」を変えれば心は大きく変わる

私のクリニックにも、自分を過小評価してしまい、生きづらさを感じている謙遜さん的気質をもった方がよく来られます。

お話をうかがうと、その中には、周囲からの評価が高い方もいらっしゃいます。それなのに、なぜか自分への評価を正しく受け取れず、行き詰まっているのです。

しかしそんな方たちも、カウンセリングや心理療法をとおして、どんどん自信を取り戻していかれます。

自分自身や置かれた状況をみつめ直すうちに、自分の中に大きな変化が起きる。

つまり、「考え方」や事実の「とらえ方」を変えれば、同じ状況でも心のありようは大きく変わるのです。

そこでこれから、謙遜さんがストレスを感じてしまう心のしくみをみていきます。

謙遜さんとは、どんな存在でしょうか。

そして、謙遜さんになってしまう原因はなんでしょうか。

まずは最近、臨床の現場で話題になっており、本書の「謙遜さん」のベースにもなっている、ある症候群についてお話しするところからはじめましょう。