この状況は明らかに政治の失策である
例えば、データのある1996年の20代の「将来の経済的不安」は、33%に過ぎませんでしたが、2023年には73%へと増加しています。氷河期世代の若者より、令和の若者の経済的不安が、実に2.2倍にも増えているということになります。
そして、初婚の多い25~29歳男性の人口千対初婚率と照らせば、「経済的不安」が高まれば高まるほど初婚率は減るという強い負の相関関係にあります(相関係数▲0.8696)。
氷河期世代の若者よりも手取りが少なくなり、経済的不安が高まっている令和の若者。まさに今、「結婚が失われた30年前の再生産」が行われていると言えるのではないでしょうか。しかも、それは誰のせいにもできない、どうにもならないような原因からではなく、明らかに、可処分所得を減らし続けた国民負担増による政治的なミスによるものです。
若者を守るために40代が犠牲を強いられている
氷河期世代より過酷な令和の若者の現状を正確に把握した上で、今の若者に対して必要な措置を講じることは急務ですが、さりとてそれは若者だけを救えばいいという話ではありません。令和の若者の経済的不安を募らせているのは、自身の経済環境だけではないからです。
一部の企業では、人手不足の折、20代の新卒採用のために初任給や20代の年収をあげるかわりに、40代の年収が抑えられている例もあります。40代での早期退職も増えています。企業は、全体の人件費を増やすのではなく、それを若者に振り分けてしのごうとしているのでしょう。割を食うのは40代です。
20代の実質可処分所得が2000年対比で16%減であることはすでに述べましたが、40代のそれもまた低下しており、同2000年対比で17%減です。20代も減っていますが、40代もそれと同等以上に減っているわけです。