ビジネス書のベストセラー著者である入山章栄氏がこっそり教える、難解な本も理解でき、気づきを得て、読み通せる方法とは。

3つのタイプによって読み方はまるで違う

僕はつい最近まで、本を読むのが苦手でした。わずかではありますが、ADHD(注意欠如・多動症)の傾向があり、注意を持続させるのが難しいのです。本を読み始めても、最初の1〜2ページでいろんなことを考えてしまい、気もそぞろになってしまいます。自分でビジネス書や経営書を書いているにもかかわらず、そんな状況ですから「本を読んでいる人はすごい!」と、ずっと思っていました。

さすがにそれではいけないと思い、“本を読む習慣をつけよう”と工夫するようになりました。たとえば、日本経済新聞の夕刊で書評欄を担当しているのですが、これは本を読めない僕が強制的に本を読むために引き受けた仕事の一つです。3週間に1冊、絶対に読まなければなりません。すでに3年ほど続けていますが、最初のころは3週間かけて1冊の本を泣きながら読んでいました。それでも、1年ほどが経過すると、「昔より明らかに読めるようになったな」との感覚を覚えました。いまでは2、3日で読めるようになっています。

「本の帯のコメントを書いてほしい」といった依頼も多く来ます。これも、できるだけ受けるようにしています。また、先日、池上彰さんとの共著で『宗教を学べば経営がわかる』(文春新書)を出版しました。このときは池上さんが選んでくれた本を僕がひたすら読んで、対談をする形をとりました。これはサボるわけにはいきません。

本を読むのは慣れです。同じように本を読めないと感じている人は、読書会に参加するなど、強制的に読まざるをえない状況に自分を追い込むといいと思います。しばらく続ければ読むことに慣れて、興味が出てくるはずです。

実際に本を読むときには、本のタイプを3つに分けて、読み方を使い分けています。

それは、
1 「これは絶対に自分の学びになる」と確信できる本。
2 知人やメディアなどで「タメになるよ」とおすすめされた本。
3 特に興味もないけど、もしかしたら“自分の幅を広げるかも”と考えて、「知の探索」のために買った本。
です。