努力を難なく続けるには、どうすればいいか。行動経済学のコンサルティングを行う山根承子さんは「『自分の頑張り』を自分自身で適切に評価できなくなったとき、楽しかったはずのことが『つらい努力』に変わる。これを乗り越えて努力を続け、成長していくためには、どんな形であってもフィードバックと目標が必要になる」という――。

※本稿は、山根承子『努力は仕組み化できる』(日経BP)の一部を再編集したものです。

同僚と話し合うビジネスマン
写真=iStock.com/Aum racha
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そもそも努力はなぜ「つらい」のか?

「努力を続けること」は、いつから苦痛を感じるものになってしまったのでしょうか。スポーツや趣味などを新しく始めたときのことを思い出してみましょう。中学1年で部活動を始めたときなどが、わかりやすくていいかもしれません。

新しいことを始めたばかりのときは、毎日、できることが増えていきます。それが楽しくて、毎日の部活も「努力している」とは思わず続けられていたのではないでしょうか。

しばらくすると「基礎練習が面倒臭い」「部活をやめたい」となりがちですが、これはスキルが一定レベルに達したことで、日々の成長を感じにくくなったせいでしょう。毎日の練習から何のフィードバックも得られない状態では、努力を続けるのは難しいのです。

筋トレもわかりやすい例です。筋トレを始めてすぐの頃は、重量が増えたり、走れる時間が延びたりといった明確なフィードバックを得られます。筋肉痛もフィードバックの1つで、「トレーニングを頑張った」と感じさせてくれるでしょう。

これらが何もないと、「このトレーニングには意味があるのだろうか?」と思い、そのうちやめてしまうことになるでしょう。このようなことは、全ての「努力」に当てはまるのではないでしょうか。