「お嬢」発言のナイナイ岡村は降板にならなかった

今回の件では、ラジオ局が最初に決断を下したことも珍しい。

通常であれば、降板の判断は下記の順番で行われることが多い。

1.広告(特にマスメディア)
2.テレビ番組
3.ラジオ番組
4.インターネット

この順番は、リスク回避志向の高い順番でもある。ジャニーズ事務所の性加害問題の際も、まずはタレントを広告に起用している企業が契約終了を発表し、続いてテレビ出演がなくなり……といった順番で、メディアからタレントが消えていった。

ラジオ番組は“失言”に関しては比較的寛容だ。

2020年にお笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史さんが「オールナイトニッポン」で、「コロナが終息したら絶対面白いことあるんですよ。美人さんがお嬢(風俗嬢)やります。短時間でお金を稼がないと苦しいですから」と発言し、「女性蔑視」と批判を浴びた。岡村さんは謝罪を行ったが、番組の降板までは至らなかった。

2023年にはミュージシャンの山下達郎さんが、「山下達郎の楽天カード サンデー・ソングブック」(TOKYO FM系)で、音楽プロデューサー松尾潔氏が旧ジャニーズ事務所を批判したことで所属事務所との契約が終了になった件で、ジャニー喜多川氏への尊敬の念を表明した。この発言も批判を浴びたが、やはりパーソナリティーを降板するには至っていない。

寛容なラジオ局が「即休止」を決断した理由

ラジオ番組はリスナーも限定されるし、リスナーの多くはパーソナリティーのファンであるから、批判は浴びても実質的なダメージは少ない傾向がある。

特に、「オールナイトニッポン」は、深夜放送であるし、開始当初から若者向けの“攻めた内容”を特徴としてきた番組だ。

にもかかわらず、今回に限ってフワちゃんの番組が放送中止になったのはなぜだろうか? 理由は明確ではないが、ラジオ番組はビジネスとして小規模であるがゆえに、意思決定者の判断に左右されやすい傾向がある。そのことが影響している可能性が考えられる。