芸能人同士のいざこざはかつて「エンタメ」だった

今回と類似したケースでは、2019年に元タレントの木下優樹菜さんが起こした“タピオカ事件”がある。これは、木下さんの姉が勤務先のタピオカ店とトラブルになり、木下さんがタピオカ店の店長に“恫喝メール”を送った事件だ。さらに、木下さん自身のInstagramアカウントでもトラブルについて報告、「もうお店には行かなくて大丈夫です」と投稿した。

サイバーいじめの概念
写真=iStock.com/asiandelight
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この件は大炎上し、木下さんは芸能活動を自粛。最終的には芸能界を引退するに至っている。ただ、本件は、一般人が被害者になっていることに加え、タピオカ店の店長に損害賠償を求めて訴訟を起こされたことも大きく影響している。

芸能人同士の悪口は、これまでは一種のフィクションというか、話題づくり的な扱いをされてきており、問題となることはさほど多くはなかった。

かなり古い話になるが、1999年~2001年にわたって起きた「ミッチー・サッチー騒動」(タレントの浅香光代さんと野村沙知代さんの間で起きた批判合戦)は、格好の「芸能ネタ」となり、メディアが延々と面白おかしく報道していた。当時の状況を振り返ると、隔世の感がある。

「死んでくださーい」は不適切度合いが桁違い

ジャニー喜多川氏の性加害問題や、宝塚歌劇団のいじめ問題を経て、良くも悪くも「芸能人は特別」という見方は急速に薄れている。

以前であれば、お笑い芸人同士で同様のことが起きたとしても、「お笑いネタ」として消費されてしまっただろう。

時代の変化に加えて、今回のフワちゃんの件は、たとえ冗談だったとしても、「死んでくださーい」と投稿したことが問題視されているのではないかと思う。最近、“ネットいじめ”が社会問題になっており、自殺者も出ている状況だ。

厚生労働省HPより
小・中・高生の自殺者数の推移。近年はSNS上での誹謗中傷が社会問題化している。

筆者が子供のころは、「死ね」という言葉はよく使われていたし、過去にネット掲示板の「2ちゃんねる」でも、そうした投稿はよく見かけていた。しかしながら、現在では、言ってはならない誹謗中傷の言葉となっている。

旧ジャニーズタレントのSNSアカウントの開設が解禁され、タレントがSNSで情報発信するようになったが、WEST.の中間淳太さん、生田斗真さん、Kis-My-Ft2の千賀健永さんなどが炎上騒ぎを起こしている。しかし、それによって芸能活動が制限されるところまでには至っていない。

同じのSNSの投稿でも、今回のフワちゃんとは“不適切度”が異なっている。