文章を書く「テクニック」より大事なこと

このような状況が明らかになるにつれ、私は、「問題文の意味を正確に理解する」ということが、文章指導の核であると考えるようになりました。すでに述べたように、それができていない人があまりにも多いからです。

そして、問題で聞かれていることからそれた答案は、決定的に評価が下がるからです。他のなによりも、この点を解決しなければ、いい文章を書けるようにはなれません。

世の中にある文章術の本を見ると、多くは「文章の型を覚えたらすぐ書ける」「結論を先に書くことがポイント」といったように、「書くこと」ばかりに注意を向けています。

しかし、私は、まずは「読むこと」から始めなければいけないと考えています。問題をよく読んでその趣旨を正確につかまなければ、どんなに文章の型を整えても、結論を先に書いても、「聞かれていることと違う見当外れの答案」であるという状態は変わらないからです。

今道琢也『人生で大損しない文章術』(新潮社)
今道琢也『人生で大損しない文章術』(新潮社)

従って、私が文章の指導を行う際には、「問題文を正確に理解できていないまま書いていたら、いつまでたっても合格できません。問題文の意味を理解することを心がけてください」と指導することから始めます。

そうすると、サッと要領をつかんで、すぐにできるようになり、「合格しました」という連絡をくれる人もいます。

一方で、5回、6回と指導してもなかなか身につかない人もいます。もちろん、「問題を読む」こと以外のさまざまな指導も行うのですが、「問題をよく読む」ことをクリアしなければ、評価を下げている根本原因が解決しません。

高評価を得られる文章を書くためには、この点が最大の鍵であることは間違いありませんので、私は徹底してこの点を指導しています。

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