経営者になりたい人を採用したい

これは会社選び、仕事選びの考え方にも近いと思います。

まずは行動してみる。そこから起こる偶然や縁を活かす。違っていたと思えば修正する。

柳井さんは、もともと商売には向いていない性格だと思っていたそうです。

でも、商売にずっと携わって、わかったことがあった。

それは、向き不向きではなく、これだと思う仕事を一生継続することが何より大事だということ。自分の方向性をはっきりさせるということです。

そして、環境の大切さを意識すること。自分の能力以上を求められる環境でなければ、成長は難しいのです。

インタビュー時、全社員に「自営業者になりなさい」と言っていると語っていました。

どんな人を採用したいかと問われたら、将来、経営者になりたい人と答える、とも。

そんな人材を採用し続けたからこそ、ファーストリテイリングは、今や世界に冠たる会社になったのです。

勤務先をクライアントとみなした藤田晋さん

方向性がはっきりしていたから自ら頑張れた、と語っていた人には、サイバーエージェントの創業者、藤田すすむさんもいます。

1998年、24歳で設立したインターネット総合サービス企業は、今や年商が7000億円を超える会社に成長しました。

藤田さんは、今までの人生で最も辛かったのは、大学1、2年生の頃だと語っていました。ただなんとなく、ダラダラと過ごしていたから。目標もないまま毎日を送るのは、本当に苦しかったそうです。

しかし、自ら動いているうちに「会社を作る」という目標が途中で見つかることになります。それからは人生が一気に変わっていくのです。

新卒で入社した会社では、早朝から深夜までモーレツに働きます。周囲からは、とても真似はできないと言われたこともあったそうです。しかし、藤田さん本人はただ目標に向かって突っ走っていただけでした。頑張ったという意識もあまりなかった。

実業家の残業
写真=iStock.com/PonyWang
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持っていたのは、自立したプロ意識のようなものでした。

仕事は法人営業でしたが、勤めた会社をクライアントのように考えていたといいます。

会社の方針、社員への期待、そして求められる成果を強く意識していた。後にそれが、実力となって跳ね返っていくのです。