日本とハンガリー、出生率の差=性教育の違い
ハンガリーで高校生から大学院生15人以上の若者と交流して衝撃を受けたことがある。それは、全員が口を揃えて「将来、結婚して子どもを2、3人作りたい」と言っていたことだ。博士課程の男性(24)はすでに教師の女性と結婚しており、「子どもができたら、育休を妻と交互にとり、育児と家事は平等に分担する。お互いの夢を叶えて夫婦2人で成功したいから」と語っていた。
また、19歳の女子学生は次のようなしっかりとした意見をもっていた。
「いま付き合っている彼は今すぐにでも私と結婚したいと言うのですが、25歳まで慎重に付き合うつもり。私の場合、ポストドクター(博士研究員)を終えるのが29歳くらいなので、25~29歳の間に結婚して子どもを一人は作っておきたい」
この答えに思わず、「パートナーシップで一番大切なことは何だと思う?」と聞くと、「クオリティの高い時間を一緒に過ごすこと」とさらっと返ってきた。大学生とは思えぬ精神的成熟さは日本の同世代には見られないものだ。
こういった学生の声を裏付けるかのように、2010年以降ハンガリーの結婚数は約2倍近く増えており、出生率も1.23(2011年)から1.54(2024年)に上昇している。
反面、日本のそれは1.20であり、婚姻数も出生数も年々減少しているのはご存じの通りだ。それだけではない。日本人は結婚して子どもをもつどころか、パートナーをもたない、あるいは、もてなくなってきたのだ。
日本財団が17~19歳の男女1000人を対象にしたアンケート調査によると、「結婚したい」は男女ともに約4割いたが、「必ず結婚すると思う」と回答したのは男性の約2割、女性の約1割だったことが判明。また、リクルートが20~49歳の未婚男女1200人を対象に行った調査では、34%が恋愛経験をしたことがなかった。3人に1人である。
この日本とハンガリーの違いは何なのか。答えはひとつではないだろうが、ここ10年、ハンガリーが充実させている性教育のプログラムも彼らの恋愛・家族観に影響していると考えられる。本稿では、ハンガリーと日本の性教育の違いを紹介する。