定年後の豊かな隠居生活は、いまや夢物語になった。だが、組織の一員として生きてきた元会社員の仕事探しは容易ではない。近刊『ライフキャリア』が話題の龍谷大学客員教授・原尻淳一さんは「仕事上のスキルだけでなく、プライベートにおける趣味や特技も定年後のキャリアを形成する立派な『資産』になることに気づき、40代、50代のうちに準備を始めてほしい」という──。

「官僚から外資コンサルへ」東大生の就職先の大変化

東大生の国家公務員になる比率が1割を切ったというニュース(「国家公務員は東大生にとって3K職場になった…東大卒が1割を切り、MARCH+日東駒専クラスが続々合格のワケ」)を見た。記事によると、2024年度春・国家公務員総合職試験の合格者のうち東大出身者の割合は、2015年度には26%を占めていたが、2024年度には9%にまで低下しているそうだ。

東京大学新聞によると、最近の東大生の人気就職先は外資系コンサルティング会社であり、アクセンチュア、マッキンゼー・アンド・カンパニー、PwCコンサルティング等が上位に名を連ねている。

東京大学をはじめとする旧帝国大学は、国家を支える人材を育成する目的で明治19年に設立された。帝国大学令の第1条には「帝国大学は国家の必要に応じる学術技芸を教授し、その奥深くを研究することを目的とする」とあり、西洋列強国に追いつくために日本の近代化を担う人材育成機関としての役割を明確に示していた。

しかし、最近の就職状況を見ると、その実態は、日本の国家を支える人材からグローバル経済を担う人材へとシフトしているように思える。

積まれたコインを見るミニチュアの人
写真=iStock.com/wutwhanfoto
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「当たり前」が崩壊した世界

注意すべきは、この「前提」の崩壊だ。

令和という新しい時代は、私たちがこれまで「当たり前」としていた前提条件があらゆるところで瓦解し始めている。この前提条件の瓦解をいち早く察知しないと、ビジネスも、人生も失敗する。

たとえば、キャリアの考え方も前提条件が瓦解している事例の1つである。

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