全戸の2割が転売されている晴海フラッグ
先述の通りパークタワー勝どきは、人気を集めているのが価格推移からもわかる。大きな要因の一つはこのタワマンが勝どき駅直結だからだ。また、前掲の写真をみてもわかるとおり、部屋からは開放感がある景色を堪能でき、最先端を感じさせるデザインも魅力的。第一期販売では最高倍率が27倍となるほどの過熱ぶりだった。仮に一次取得した人気の部屋を今売却しようとしたら、購入金額から数千万円以上を上乗せしてもすぐに売れてしまうだろう。
タワマンといえば、勝どきエリアに隣接する晴海フラッグについても触れておきたい。東京オリンピック・パラリンピック選手村の跡地として都が整備した晴海フラッグは、大量の住戸が市場に供給されるために、湾岸タワマン全体の不動産価格が暴落するのではないかと懸念されていた。
いざ売り出されると、転売などのネガティブニュースもあるものの、人気は加熱の一途をたどり、価格は大きく上昇。中には1億円程度で販売された部屋が2億円超の価格で成約しているケースもあり、都の再開発が個人の投資家や法人などの利益になっているのはどうなのか、という声も上がっている。
実際に転売目的の不動産会社や円安によって割安に感じた海外投資家も多く参入していると聞く。NHKの調査(5月29日)によると、全体2690戸のうちの491戸(約18.2%)が転売や賃貸に出されているそうだ。
勝どきエリアのマンション価格は2億円以上になる
転売すると購入価格の1.5~2倍近くで売れ、賃貸では周辺よりも高い利回りが確保できるので、利益目的の法人や投資家が集まるのは、ある意味では当然かもしれない。しかし、参入が相次いだために、本当に住みたい人がなかなか手に入れられないのは大きな問題だ。
次の新築タワマンとして注目されているのがザ・豊海タワー。こちらは駅徒歩10分と不便とはいえないものの、勝どき周辺のタワマンと比較すると駅距離での優位性は低い。このタワマンの強みは、ホシノアーキテクツが手がけている豪華な外観や、遮るものがなく海を見渡せる圧倒的な眺望だ。
現在、施工上の問題が発生しているため、予定より販売時期が遅れているがおそらく2024年中には第一期の販売が始まるだろう。問題が発現する前のスケジュールでも2027年竣工となっていたので、入居が始まるのはまだ少し先ではあるが、パークタワー勝どきの一次販売以上の抽選倍率になる部屋も出てくるのではないか。モデルルーム見学予約のためのホームページがダウンするほど、アクセス集中が起きたとのことで、もし購入したいなら激戦必至。
ザ・豊海タワーが完成したら、また話題になって勝どきエリアは注目を浴び、周辺のタワマンと一緒にさらなる価格上昇が予想される。絶景が望める部屋や、家族で住むための広い部屋を購入したいなら、よほどのキャッシュがあるか、2億円以上のローンを組める高所得者でない限り、ブランド化された勝どきエリアのタワマンは手が届かないだろう。