上司に面倒な頼みごとを通す

【TECHNIQUE】上司の世界観を知り、落としどころを探る

上司に面倒な頼みごとをする場合、気持ちよく「上司させて」あげる発想が大切です。そこで必要になるのが「上司マネジメント」の技術です。

上司がどんな考え方で仕事をしているのか、何を目標にしているのか、上司の世界観を知ることが第一歩になります。

上司と酒でも飲みながら、生まれてからのライフストーリーを聞くのが効果的です。私はリクルートに勤めているときに上司の家におしかけたこともあります。

上司の家に行けば、普通は奥さんがお茶や料理を出してくれます。そこで馴れ初めの話を聞くこともできます。そうすると奥さんは私の恋愛の話なども聞いてくれる。お互いのプライベートの情報がわかれば世界観を知ることができます。

このようにして上司の世界観を理解したら、2人の共通項を探します。なぜなら人は共通項の多い人からの頼みごとを優先的に聞き入れるからです。共通項の多い人は自動的に信頼の置ける人になる。

共通項探しにはテクニックがあります。出身校を聞くなら、大学はコンプレックスがある人もいるので高校を。そして出身地や趣味などを聞いたら、聞きっぱなしではなく、そこをきっかけに会話を広げます。血液型でも「本当に気配りの達人で驚いちゃうんですが、A型ですか」と聞けば、ぶっきらぼうな回答は返ってきません。その技術はお笑い芸人のボケとツッコミが非常に参考になります。

こうした共通項探しで信頼関係を築くことが、面倒な頼みごとを通すコツです。

そしていざ頼みごとをするとき、自分ばかりが得になる依頼は容易に通りません。上司には上司のベクトル(やりたいことの方向性)があり、部下である自分には自分のベクトルがある。

自分のベクトルに合わせようとすれば、上司のベクトルは全部生かされず、不満がたまります。上司に無理を通してもらっても、上司のベクトルを損なうような依頼はわだかまりが残るのです。

両者のベクトルを最大限に生かせる方向を見つけ出す必要があります。これは妥協ではありません。両方を犠牲にしない着地点をめざすと、それぞれのベクトルを別々に利用したときよりも大きなエネルギーを生み出します。このベクトル合わせはマネジメントの基本です。

相手の世界観を知り信頼を得てお互いのやりたいことの落としどころを探る。これが頼みごとを通す秘訣です。