査定の低い部下のモチベーションをあげる
【TECHNIQUE】仕事の割り振りがポイントに
まず査定が低い理由をきちんと説明すべきです。そのうえでモチベーションがあがるよう工夫して仕事を割り振ります。
査定が低い部下に「仕事ができない」という負のラベルをつけて、重要な仕事を与えない上司も少なくありません。しかし能力が100の部下に80の仕事を与えると、残り20の能力は活用されずに腐っていきます。すると能力が80になり、そこで60くらいの仕事しか与えなければ、また余剰能力は朽ち果てる……。悪循環が始まるのです。
部下の能力をあげるためには、少し背伸びが必要で“挑戦”しがいのある業務を与えモチベーションを維持し、指導やアドバイスのフィードバック(振り返り)を繰り返すことが大切。そのために上司がすべきことはたくさんあります。
まず部下の仕事の内容を把握すること。上司は部下の仕事を正確に把握していないことが意外と多く、上司が思うよりも負荷が大きかったり複雑だったりする。仕事の内容を把握し、どの程度の負荷がかかるのか、部下に説明する必要があります。そして部下の能力と仕事の負荷の関係から適正な期限を設定するのです。
そして権限委譲されたという実感を部下に持たせることが大切です。やっつけ仕事ではなく、まとまった仕事を任されたという実感、自分の仕事に対するオーナーシップを持たせることです。
仕事の途中で部下に精神的な支援を行うことも効果的です。「見てくれている」という安心感が支えになります。特に上司からのちょっとした一言は大きい。同僚からの「大丈夫だよ」という言葉は実は効果は薄いのですが、上司からの励ましは少しの量でも絶大な効果があります。
ただし、持ち上げて調子に乗せたり、おもねったりしてはダメ。学校では、子供におもねり、玩具になってしまった教師は二度と教師に戻れない。最初の7日間で教師と子供の関係が決まるのです。会社でも最初の段階で部下から逆査定されていると思うべきでしょう。
仕事が終わったら、フィードバックの機会を与え、なぜこの仕事がうまくいったのか、どういう気持ちだったのかを意識させます。
モチベーションをあげることは手段であって目的ではない。大切なのは仕事にいい影響が出ることです。モチベーションをあげようと飲み会をして、その場は盛り上がったとしても仕事が停滞しては意味がありません。モチベーションアップは仕事が当人にとって面白くなるよう、仕事そのものを通して行うべきです。
上司の役割とは、仕事の割り振り、フィードバック、職場の雰囲気づくりの3つにつきます。これを徹底してつきつめれば、査定の低い部下のモチベーションをあげることもできるでしょう。