止められていたことを全部やってみればいい

「ひとりじゃつまらない」「何もできない」。そんな不安を感じている人もいるかもしれません。ただ、そう考えていると、自分から新しいグループなり団体なり、とにかく知らない人間関係の中に飛び込んでいく必要が生じてきます。

それは、億劫でハードルが高い。ほとんどのひとり暮らしの人は、結局は何もしないで過ごしているのではないでしょうか。

そうなるくらいなら、何でもいいからひとりで楽しめることから始めたほうが気楽というものです。これまで、やりたくてもできなかったこと、誰かに止められていたこと、すべてをやってみましょう。

私は勉強が好きです。勉強のいいところは、いつでもどこでもひとりでできるというところにあります。誰かに教えてもらうことも含めて、ひとりで考えたり書いたりできるし、自分なりの着想を育てることもできます。

一つの勉強に飽きてしまったら、別の分野にかえればいいのです。学校や仕事ではないのですから、好きな勉強だけしていても、誰にも何もいわれません。

赴くままに時間を楽しめるのがひとり暮らしの醍醐味

かつて好きだったこと、いつかきちんと勉強したいと思っていたことを思い出して下さい。

子どもの頃は、天体観測が好きで宇宙の勉強をしてみたかったとか、火山が不思議だと思ったとか、本棚の片隅に昆虫図鑑が隠れていたりとか、「あ、そういえば」という世界が、たいていの人にあるはずです。

ひとり暮らしのスタートはそんな自分の世界を探してみることから始めてみましょうか。完全にひとりの楽しみです。

ひとり暮らしの高齢者は、皆さん「けっこう、やることがあって忙しい」といいます。

生活ですから、たしかにそうなんだろうなと思いますが、かといって忙しそうには見えません。何事につけ、一息入れながらゆったりと動いています。手を休めながら家事をこなし、好きなことを好きなタイミングでやる。

お気に入りの場所で気の向いた時間にお茶を飲んで静かな一日を過ごす。そういった時間を楽しめることこそが、ひとり暮らしの醍醐味なのです。

コーヒーを楽しむシニア女性
写真=iStock.com/kumikomini
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