「田村瑠奈は死んだ」と宣言
瑠奈の父方の祖父がこう話している。
「瑠奈は小さい時から“病気”があったんです。息子の修が言うには、癇癪の一種だと。何かあったら脳の中に蜘蛛が出てきて、悪さをして、その瞬間は、瑠奈も自分で何をやっているか分からないんだって」
事件から間もなく、修が札幌市厚別区に三階建ての自宅を購入。瑠奈には三階が与えられた。
だが、状況は好転せず、中学に入学してからは一切登校できなくなっていった。その頃から瑠奈は、人体の構造に興味を持ち始め、頭蓋骨の模型などを部屋に展示するようになったという。
修は精神科医だったが、自分の子どもを診るというのは客観的な判断ができなくなると考えたのだろうか、瑠奈が中2の頃に別の精神科医を受診させたそうだ。主治医の意見も聞きながらフリースクールに通わせていたが、そこにも通えなくなり18歳の頃には完全な引きこもり状態になってしまった。
そして自殺未遂を繰り返し、「田村瑠奈は死んだ」と宣言したという。これを弁護側は、「瑠奈の死体に五~六人の人格、魂が入り込んでいると思い込む『ゾンビ妄想』が出始めた」といっているという。
両親が瑠奈と呼ぶことを許さず、「お嬢さん」と敬語を使わせ、修を「ドライバーさん」、浩子を「彼女」と呼ぶようになった。
父親と娘で「SMプレイ」の練習を…
やがて瑠奈には「ジェフ・ザ・キラー」なる妄想上の恋人もでき、時折虚空を眺めて「彼との会話を楽しんだ」という。
ホラー映画やSMに興味を持ち始め、ススキノの「怪談バー」へ行きたいというようになった。昨年5月28日、修の運転でススキノに足を運び、クラブ「キングムー」の閉店イベントにも出かけ、そこで女装したAと出会ったのだ。
だがAは、「女装はするけど、好きなのは女の子」だった。知り合ってすぐにAと瑠奈はラブホへと向かったという。
そこでトラブルが起きた。Aは短時間に何回も性行為に及んだが、最後は、避妊具をつけるという瑠奈との約束を破ってしまったのだという。
別れた後Aの仕打ちに怒り狂っていたそうだが、瑠奈は、Aが謝ったら許してあげる、次にはSMプレイをしたいと両親には話していたようだ。
だが検察側は、人体に関心があった瑠奈は遺体を解体して弄ぶことを計画し、両親もそれを容認し、協力したとみているという。
「SMの女王」になりたいという瑠奈のSMプレイの練習のため、家で修と2人で練習をしていたそうだから、異様というしかない。
娘と父親はAを探し当て、7月2日、ラブホへAと瑠奈が入って行った。