同じものでも「食べ方」で血糖値は変わる
【基本2】主食は最後。食べる順番を工夫する
糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質という三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは糖質だけです。
タンパク質や脂質は、血糖値を上げません。
糖質の中でも、液体のものは消化の時間がかからないので、とくに急激に血糖値を上げてしまいます。ですから、糖質を摂るにしても、少しでも消化に時間がかかるように工夫すればいいわけです。
たとえば、ランチで注文した定食が、おかず、味噌汁、米飯という内容だったとしましょう。このとき、最初に米飯を食べると、早いタイミングで血糖値が上がります。
液体の糖質ほどではないにしても、多糖類の炭水化物がどんどんブドウ糖に分解され、血液中に吸収されるからです。ところが、最初におかずの肉や魚などを食べると、胃は、そのタンパク質をアミノ酸に、脂質を脂肪酸に分解する作業に入ります。
そこで、その後に米飯を食べれば、ブドウ糖がつくられるまでに時間がかかり、血糖値の上昇が緩やかになるわけです。
最終的には、おかず、味噌汁、米飯という、まったく同じ内容のものを食べたとしても、食べる順番によって、血糖値の変化に違いが出ます。
つまり、疲れるか疲れないか、太るか太らないか、体を壊すか壊さないかというところまで影響するわけです。
定食に、野菜の小鉢やサラダがついていたら、それを最初に食べるのもおすすめです。野菜の繊維質を消化するのに時間がかかるからです。
こうして、米飯やパンなどの主食を最後に回し、かつ、よく噛む食べ方をしていると、だんだんと主食(糖質)を残すことができるようになります。
そうなれば、完全に糖質中毒から脱出したと考えていいでしょう。
炭水化物を「単体」で食べてはいけない
【基本3】具をたっぷり。炭水化物だけを避ける
米飯やパン、麺類などの炭水化物を食べるときは、「単体」にしない心掛けも大事です。
炭水化物だけだと、どんどんブドウ糖に分解され血糖値がみるみる上がります。しかし、そこにタンパク質や脂質が加われば、その消化に時間がかかり、血糖値の上昇が緩やかになるからです。
こうした研究は世界中で行われていますが、なかでも非常に興味深いものを紹介しましょう。『European Journal of Clinical Nutrition』に論文が掲載された研究では、健常者を対象に、「パンだけを食べた場合」「バターと一緒にパンを食べた場合」「オリーブオイルと一緒にパンを食べた場合」「コーンオイルと一緒にパンを食べた場合」の4つのパターンについて、血糖値の変化を調べています。
図表1を見てもらえば一目瞭然、「パンだけ」の血糖値が急激に上がっているのがわかるでしょう。