ラーメン店はよくできるが、よく潰れる。「潰れないラーメン店」を作るには、どうすればいいのか。元ラーメン店主で公認会計士の石動龍さんは「金銭面だけでなく、肉体的負担も考慮して、出店するラーメンのジャンルを考えたほうがいい」という――。

ラーメン店の倒産が大幅に増加している

2023年、ラーメン店の倒産は前年比で大幅に増加しました。

2024年に入っても原価上昇が止まらず、一方では消費者の可処分所得が増えていないことで、ラーメン店の経営には厳しい状況が続いています。

ラーメン屋の倒産が大幅に増加している
写真=iStock.com/bonchan
ラーメン屋の倒産が大幅に増加している(※写真はイメージです)

「倒産」とは、店の営業が続けられなくなることです。

赤字が続き、資金が尽きると、営業が続けられなくなります。

他の飲食店に比べ、ラーメン業界は、全店舗数に占める大手チェーンの割合が低く、個人店の割合が高くなっています。

ラーメンと同じく「国民食」とされる牛丼の場合、大半が「すき家」「吉野家」「松屋」などの大手チェーンです。個人店を見ることはほぼありません。

従って、ラーメン業界は経営体力に乏しい店が多いです。そのため、廃業と出店の新陳代謝を繰り返すことが当たり前といえるでしょう。

参入障壁の低さと退場のしやすさが新たなチャレンジャーを呼び込み、新しいトレンドを生み出してファンを引き付けています。

1日40杯だと利益は月12万円しかない

具体的に計算してみましょう。

個人店で、1杯1000円のラーメンを月に1000杯売る想定で考えてみます。25日営業とすると、1日40杯のペースで、売上は月100万円です。

食材原価30%として原材料費は月30万円、アルバイトを1人雇って月10万円、光熱水道費、家賃、その他の経費が合計で40万円かかるとしましょう。

すると、手許に残るのは税引き前で20万円です。

ここから税金や保険料を支払うと、生活するのも厳しい水準になります。

さらに、オープン時に店舗改装や冷蔵庫など設備の購入にかかる資金を融資してもらっている場合、税引き後の手取りから返済する必要があります。

仮に、税金や保険料が月3万円、返済が月5万円だとすると、残りはわずか12万円。

アルバイトのほうがマシです。

飲食店経営の厳しさがよくわかると思います。