「はて?」は今を生きる女性の代弁

疑問・反論・猛反対「はて?」ベスト3

今年の流行語にしたい、寅子の口癖「はて?」。全国の女性がこれを口癖にしたらいいのではと思うくらい、端的に女性の意識改革を推奨している。「はて?」ベスト3も紹介しておきたい。

3位 諦めや分断を求めない寅子の「はて?」(第10~11話)

よねと寅子の意見はことごとく異なる。法律を「武器」と捉えるよねに対して、寅子は「盾とか傘とか温かい毛布」と捉える。それを聞いた仲間は「考え方が違うならわかりあえない」と諦めモード。

これまでも女学生たちはことあるごとに諦めるクセがあった。そこにも寅子は「はて?」と問い、諦めるのも分断するのも違うと諭した。寅子はたとえ意見が相反していても議論する価値があると考えている。意見が異なっても志が同じ仲間なら糧にできると信じているのだ。ここに現代の女性も学ぶべきものがある、と強く感じた。

2位 「特別扱い」に怒りの「はて?」(第18話)

怒りのピクニック、覚えている人も多いはず。梅子の子供がいる前で、梅子の夫に愛人がいると話す下衆な男子学生・小橋(のちに前髪チョロ男こと名村辰)。それを機に花岡と寅子の間で議論に。

「夫は家族を養っているのだから、外で息抜きも必要、そのほうが家庭円満」と説いた花岡に、怒りの「はて?」をぶつける寅子。話せば話すほど、好青年の化けの皮が剝がれていき、しまいには「君たちはどこまで特別扱いを望むんだ?」と吐いて、虎(寅)の尾を踏む花岡。

根本的に見下されていることに激怒した寅子の「はて?」は今を生きる女性の代弁でもあった。

私が拍手喝采だった「はて?」

1位 寅子の完全復活「はて?」(第50話)

地獄を経験し、婦人弁護士のプレッシャーと妊娠が重なり、法曹界から身を引かざるを得なくなった寅子。終戦、夫の死を経て、再び法曹界へ戻る。

民法改正に携わり、心の底から法律の世界で生きる喜びを感じた。ところが、恩師・穂高重親(小林薫)からまさかの提案が。女性の権利の尊重を説いてきたはずの穂高が別の仕事を紹介すると言い出す。

もちろん、一度は満身創痍で法曹界を去った寅子がまたつらい思いをしないように、という配慮ではあるが、寅子が「不本意に働いていて不幸」と決めつけたのだ。

寅子の口から久しぶりに出た「はて?」には拍手喝采だ。猛烈に怒りを覚え、自分が好きで仕事をしている旨を伝える寅子。つまりは「善意や同情という名の抑圧」である。寅子同様、怒りに震えたね。