人材論

「吉田沙保里はいい。獲物を捕ろうとする目つきが、素晴らしい。吉田のような闘志を、日本の若者は持ってほしい」

国民栄誉賞を受賞したレスリングの吉田選手は、鈴木修のお気に入り。「あのファイトがないと、世界では戦えない」と評価する。

「ツキのない奴は、ダメだ。麻雀と一緒。追いかければ追いかけるほど、ツキは逃げていくのだが」

「グローバル化のなかでは、明るい性格の奴が求められる。明るくアッケラカンとしてる人が、海外で活躍でき、やがてはツキも生む。理屈ばかりで暗い性格はダメ」

鈴木修はよく、「ツキ」や「運」について話す。インドでの成功は「人に恵まれたから。向こうも俺に魅力を感じていた。巡り合えたのは運だった」とも。また人を見るときは理屈よりも性格や意欲など人間的な部分を重視する。

「日本の工場からタイに呼んだ170人のワーカーは指導者だけではなく、若手も含まれている。若手にはタイの人たちと一緒に働いてもらう。アジアを中心に言葉の通じない外国人と一緒に働く機会は、これからも増えていく」

「タイで働く日本人ワーカーの賃金は、タイで生活する実勢に合わせ減らしている。でなければ、タイ工場の競争力が保てない」

総選挙後の思惑から円安に振れてはいるものの、大きな流れでは超円高が定着してしまった。自動車産業でも、日本人が普通に海外で働く環境を迎えている。「賃金だけ高くて働こうとしない日本人が増えれば、日本での生産をやめることも考えられる。まぁ、基本的にはないが」。